2017年F1オーストリアGPのグリッドガール
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F1、時代錯誤との声を受け グリッドガール廃止を検討

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F1の新しいオーナーであるリバティ・メディアは、廃止を含めて、グリッドガールの抜本的な見直しを検討している。英BBCラジオ5に出演したマネージング・ディレクターのロス・ブラウンは、女性モデルを起用し続けるか否かについて議論している事を明らかにした。

「長く続くグリッドガールの伝統を重んじている人々がいるのは承知している。だがその一方で些か時代遅れだと感じている人々もいる。だからこそどのように対処するべきかを検討しているのだ」

グリッドガールとは、スポンサーのロゴが入った衣装を身にまとい特定のプロモーションを担う女性モデルの事を指す。F1では、グリッド上で傘やドライバーの名前の入ったボードを持ちレースや企業をプロモートしたり、表彰台へ向かう途中の廊下に並びドライバーを迎える等の仕事を行う。

フォーミュラ1のみならず多くのレーシングカテゴリは男性主導の世界であり、グリッドガールはその象徴とも言える。ジェンダー・ステレオタイプ、すなわち「女性はかくあるべきという男性目線での思い込み」の産物と見なされかねず、また、広く女性の社会進出が叫ばれる昨今の潮流に逆行的な側面があるのは否めない。女性差別は男性差別と同義である。

グリッドガールとは異なるが、自動車業界にもこれと似た女性限定の独特な職業がある。モーターショーに行けば、露出の多い衣装を来た若い女性が車の脇に立つという前近代的な光景に驚く。社会情勢の変化に応じて、女性の代わりに”グリッド・ボーイ”や”グリッド・チャイルド”を起用する流れも生まれつつある。

2015年のF1モナコGPでは男性モデルがF1マシンの脇に立ち、ドライバーの横でポジションボードを掲げた。また、同年のWEC世界耐久選手権では、WECのジェラルド・ネーヴ最高経営責任者がグリッドガール廃止を決定。時代は確実に変わりつつある。

2014年F1モナコGPのグリッドガール
© Andrew Hone Photographer、2014年F1モナコGPのグリッドガール

調査対象や設問などについては明らかにされておらずあくまでも参考程度のものであるが、BBCが行った調査によれば、60%のファンはグリッドガールはF1の一部であるべきだとの考えを持っているという。

レース界におけるジェンダー問題としては、先月、ロンドンの企業が女性ドライバーのみのレースシリーズの立ち上げを計画中である事が明らかとなり、タチアナ・カルデロンら著名女性ドライバーが、自身のSNSなどで反対を表明する出来事があったばかりだ。

レースカーのようなテクニカルな造形とのコントラストという意味では、女性の繊細で有機的なフォルムと立ち振舞はこの上なく有効に作用している。だが、現状のグリッドガールは、”お飾り”的な扱い以上のものではなく、廃止とは言わないまでも、そのあり方について議論されるべき時期に来ていると言える。

F1の最高経営責任者チェイス・キャリーは、様々な考え方や意見を踏まえた上で、F1の将来にとって最善の決断をすることが必要だと述べるに留めている。