独走レッドブル、失速目的のF1ルール変更はないと断言するドメニカリCEO
レッドブル・レーシングの独走を防ぐためにレギュレーションに介入するのはフェアではないとして、F1のステファノ・ドメニカリCEOはその可能性を全面的に除外した。また、フィールド全体を拮抗させるには現行ルールに手を加えないのが一番だと主張した。
マックス・フェルスタッペンとセルジオ・ペレス擁するディフェンディング王者は今年、RB19の圧倒的なアドバンテージを背景に開幕7戦で無敗を誇っており、両選手権の連覇は時間の問題といった状況だ。
最終的な結果がどうなるかはさておき、勝敗の予想が付く状況がF1にとって決して好ましいものでない事は明らかで、パドックではファンのF1離れを危惧する声も上がっている。
ドメニカリは複数ドライバー、複数チームによる激しいタイトル争いがF1の利益に繋がると考えているもののの、チーム間の競争力を調整するためにルールを変更するのは「スポーツの操作」であり、誤ったやり方だと言い切った。
ポッドキャスト「ビヨンド・ザ・グリッド」の中で、司会のトム・クラークソンから「レッドブルを減速させるために、シーズン中に規制を変更することを考えたか?」と問われたドメニカリは「正しい事ではないし、フェアでもない。そういったやり方は全く想定してない」と語った。
かつてのスクーデリア・フェラーリの指揮官は、レッドブルとその他のライバルとの間にあるギャップを収束させるためにはレギュレーションを維持するのが「正しいアプローチ」だと考えている。
ドメニカリは「ルールが変更されたのは何年も前の事ではない」として、レッドブル以外のチームがルールに対する理解を深めるのを待てば、競争力の拮抗は「必ず起こる」と付け加えた。
レッドブルの優位性を削ぐのに手っ取り早いのは空力テスト制限の厳格化だ。例えばライバルチームが利用できる風洞稼働時間を増やすやり方が考えられるが、ドメニカリは「スポーツの枠組み」を変えるものであり「公平ではない」と強調する。
「F1は常にサイクルがあるスポーツだ。あるチームが支配的な強さを発揮しても、その後、他のチームがそれに加わってきた」
「我々が目指しているのは、将来的にこのサイクルがより短くなるようにすることにある。それが商業権保有者として、またスポーツを愛する者として、私が望んでいる事だ」
予算制限を含む現行レギュレーションはフィールドの接近を目標に導入されたものだが、2023年シーズンの開幕7戦を見る限り、ギャップは当初の予想以上に拡大しているように感じられる。
ただしそれは”レッドブル対その他”の構図においてのみであり、レッドブルより後方の競争は激化しているとドメニカリは指摘する。
「その他のチームはかなり拮抗している。レッドブルは素晴らしい仕事をしたが、これが実力主義というものなんだ」
「確かにギャップは大きいように見えるが、物事は非常に急速に変化し得るわけで、慎重になる必要がある。それに他のチームのギャップは本当に、本当に接近している」
「彼らは素晴らしい仕事をしたと思うし、それは報われなければならない」
「我々はこの差をできるだけ小さくしたいと考えている。他のチームは予算枠の中でどうやって開発面で追いつくかを検討しているはずだ」
「リードしているチームの開発速度が低下するかどうかは興味深いところだ。他のチームはこの短期間で素晴らしい仕事をしてみせた。今後数ヶ月でどう変わるのか楽しみだ」