バーレーン・インターナショナル・サーキットのホームストレートとグランドスタンド
copyright Williams Racing

F1:無観客レース開催に向け、ホスティング料の値下げ交渉を覚悟か

  • Published: Updated:

F1の商業権を持つリバティメディアは、観客を会場に入れずにレースを行う場合、現地プロモーターとの間でホスティング料=開催権料の値下げ交渉に応じる覚悟のようだ。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で全22戦の内、9レースが延期またはキャンセルされ、F1カレンダーは事実上の凍結を強いられている。グランプリ開催なくしてF1とF1チームは売上が立たないため、上層部は可能な限り多くのレースを開催できるスキームを検討している。

確認されているだけで、全世界での新型肺炎の感染者数は22日時点で累計255万を突破し、死者は18万人に達しようとしている。国別に見ればロックダウンなどの各種対策が功を奏し、流行に一定の歯止めがかかりつつある国もあるが、世界的には収束の見通しは一切立っておらず、従来通りの方法で今シーズンにグランプリを開催する事は不可能に近い。

有力なソリューションの1つとして注目されているのが無観客レースだ。F1はファンはもとよりメディアを含め、レースに直接関係のない全ての人々を締め出してイベントを行う計画を進めている。プロモーターの中でも、レッドブル・リンクとシルバーストンはこのアプローチに前向きで、無観客+平日+ダブルヘッダーのコンビネーションでのスケジュールを検討している。

ただしこの手法には大きな問題がある。それがホスティング料だ。プロモーターはチケット代を収益の柱としているため、無観客でレースを行う事はメリットがないどころか、運営費用がかさむためにマイナスですらある。その一方でF1にとっては、無観客であってもテレビで生中継できれば放映権料を確保することが出来る。放映権料のシーズン合計額は、全グランプリの開催権料の総額に匹敵する規模を持っている。

つまり無観客レースの開催にあたっては、F1が現地プロモーターにホスティング料で譲歩する事が欠かせない。スペインGPの開催地であるバルセロナのカタロニア・サーキットのジョアン・フォンツェレGMは4月21日(火)、AP通信に対してリバティメディアは金額の再交渉に応じる必要があると認識しているようだと語った。

フォンツェレGMはその一方で「カタルーニャ政府がF1に投資しているのは、チケット販売を見込んでというだけでなく、地域経済への影響を考慮してのことであり、無観客で行われればタクシーやホテルの収入は見込めず、地域経済的への影響は極めて限定的となる。これはこれまでの両者の合意を完全に覆すことになる」と述べ、スペインGPが無観客を条件にレースを行う事はないと強調した。

カタロニア・サーキットの試算によれば、スペインGPがカタロニア地方にもたらす経済効果は1億6,000万ユーロ(約186億5,454万円)以上に達しているという。