新規参戦の是非、F1とFIAが対立? アンドレッティ・キャデラックへの「拒否反応」に言及するベン・スレイエム会長
国際自動車連盟(FIA)のモハメド・ベン・スレイエム会長は1月8日(日)、アンドレッティ・キャデラックのF1新規参戦計画に対する「幾つかの拒否反応」に驚きを表明し、FIAとF1及びF1チームとの間に温度差がある事をうかがわせた。
ベン・スレイエムがF1グランプリレースへの新規参入のための「関心表明プロセス」の開始を告げた1週間後、アンドレッティとゼネラル・モーターズ(GM)が最高峰4輪レースへの参戦に向けて提携を発表した。
ベン・スレイエムはこれを公に歓迎したものの、F1側の反応は以下のように、アンドレッティに対する言及が一切ない消極的なものだった。
「現在、F1プロジェクトには大きな関心が寄せられており、外部から想像する以上に様々な話し合いが持たれている」
「我々は皆、チャンピオンシップが信頼の置ける安定したものであり続ける事を望んでおり、新規参入に対する要請は関係者全員によってそれらの目標を満たすための基準で評価されることになる」
特に注目すべきは「新規参入の要請に対してはF1とFIAの両方の同意が必要だ」という牽制を仄めかすような一文で、FIAとは対照的にF1側がアンドレッティの参戦計画を冷ややかな目で見つめている事を感じさせた。
何に対する反応であるかについて明確にしなかったもののベン・スレイエムは8日(日)、SNSを通じて「キャデラックとアンドレッティのニュースに対して幾つかの拒否反応があったことは驚くべきことだ」とのメッセージを発した。
「FIAは近年、小規模で成功した組織の参加を受け入れてきた。我々はGMのような世界的なメーカーや、アンドレッティなどのサラブレッドチームからのF1エントリーを奨励すべきである」
「成長市場のチームからの関心は多様性をもたらしF1の魅力を拡大するものだ」
新チームの参戦によって失われ得る既存10チームに他する分配金の減少を抑えるためにF1は、コンコルド協定において新規参入チームに対して2億ドルの”参入障壁税”を設けているものの、高まるF1人気を反映したものではなく5億ドルが妥当な金額との指摘がある。
F1全体の収益が増えない限り、新たなチームのエントリーは既存チームの収入減を意味する。これについては特に、メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフが繰り返し言及してきた。
またF1のステファノ・ドメニカリCEOは昨年9月、グリッドの拡大は「優先事項ではない」と述べ、新規参戦チームの受け入れに消極的な姿勢を見せた。
更にロイター通信によると、匿名のチーム幹部はアンドレッティとキャデラックの提携発表を経て、既存チームの「大多数」はグリッドの拡大に反対しており、アンドレッティが受け入れられる可能性は「極めて低い」ままだと語った。