エンジン性能差は30馬力以内であるべき、とフェルスタッペン
レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンは、現在のF1はメーカー間のエンジン性能差が開き過ぎている事が問題だとして、各サプライヤーのパワーユニットは20~30馬力差の間に収めるべきだと主張する。
フェルスタッペンは、5月18日と19日に母国オランダのザントフォールト・サーキットで開催されるジャンボ・レースデイズのための記者会見に出席。ホンダとのパートナーシップやF1の将来像について語った。
「(パフォーマンスにおける)エンジンへの依存度は低くあるべきだ」とフェルスタッペン。「今のF1ではエンジン性能差が大きすぎる」
「その証拠に、最高のエンジンを搭載するチームがここ数年のチャンピオンシップを席巻している。20馬力から30馬力以内のギャップに留めるべきだ」
フェルスタッペンの言う「最高のエンジンを搭載するチーム」がメルセデスである事は明らかだ。先行開発の優位性を存分に享受するシルバーアローは、1.6リッターV6ハイブリッド・ターボエンジン時代において、一度たりともライバルに選手権を許した事がない。
ホンダとルノーは、メルセデスとフェラーリに比べれば”伸びしろ”が大きいため、シーズンを経る毎に各サプライヤーのパフォーマンス差は収縮傾向にあるものの、イタリアの情報筋の推計によれば、今季のホンダはトップ2チームに対して未だ38馬力、ルノーに至っては45馬力、それぞれ劣っているとされる。
「日本人との仕事は楽しい」フェルスタッペンはこのように続ける。
「彼らは落ち着いているように見えるけど、モチベーションに溢れ、やるべきタスクに集中して取り組んでいる。チームにおける役割をちゃんと認識して仕事をしてるんだ。何が問題が発生すれば、あっという間にそれを直してくれる」
「ホンダは日本にテストベンチを持っているだけでなく、レッドブル・レーシングの本拠地があるミルトンキーンズにもファクトリーがある。金曜のフリー走行でトラブルが見つかった場合、即座に解決策を探る事ができるんだ。そして、その翌日にクルマに乗り込んだ時には既に、問題解決のために幾つかセッティングが変更されている」
フェルスタッペンはエンジン性能に加えて、F1が改善すべき点を2つ付け加えた。その一つはエアロダイナミクスだ。空力は、F1が他のシリーズに勝る最も大きなポイントの一つだが、あまりにも高度・先鋭化し過ぎたために、フェルスタッペンはレースの醍醐味を傷付けていると感じている。
「良いバトルが出来さえすれば、空力が速さをもたらす必要はないと思ってる。接触によってパーツが破損した場合に、1周あたり0.5秒もロスするような代物であって欲しくはない」
「ほんの少しオーバースピードで縁石に乗ると、クルマのボトム半分がダメージを受けてしまう」
空力と同じようにフェルスタッペンが問題視しているのがタイヤだ。ピレリタイヤは適切に作動するためのウインドウが非常に狭いためオーバーヒートしやすく、長年に渡ってドライバーの批判の的になっている。
「敏感過ぎるから横滑りが多くなってしまい、前のクルマを追いかけてバトルするのが難しい。DRSを使えば接近できるけど、それに頼ったレースはしたくない」
「それに、タイヤの温度を下げるのに時間がかかってしまうため、少しでもプッシュしてしまうと、次に備えてスローダウンしなきゃならない。つまり、レースを通して常に限界で攻める事が出来ないんだ」
現行のF1レギュレーションは来季2020年を以て任期満了を迎えるため、F1とFIA国際自動車連盟は、協業規定を含めた全面的なルール改正に向けて水面下での調整を継続している。