メルセデスAMGが2014年のF1世界選手権に投入したパワーユニット「PU106A Hybrid」の拡大写真
Courtesy Of Mercedes

F1パワーユニット、2019年は馬力減少? ホンダとトップとの差は38馬力

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1.6リッターV6ハイブリッドターボ導入6シーズン目を迎えた今年、フェラーリ、メルセデス、ホンダ、ルノーの各パワーユニットの馬力は何処まで達しているのだろうか?

バーレーンでのインシーズンテストでフェラーリSF90を駆ったミック・シューマッハは、跳馬の今季型パワーユニット「フェラーリ064」は1000馬力以上の出力を発揮している事を仄めかした。だが、お膝元イタリアメディアは、今シーズンの各メーカーのパワーユニットは、昨年よりも低下している可能性があると考えている。

「1000馬力以上のパワーを誇るから、コーナーからの脱出の際には気をつけなきゃならない」セッションを振り返ったミック・シューマッハは、地元ドイツ紙にこのよう語った。ハイブリッドターボ時代の覇者メルセデスは、2017年末の時点で既に1000馬力に到達したとも噂されており、今季フェラーリが大台を突破していたとしても、何ら不思議はない。

規制強化によって馬力が低下した2019年

テクニカルレギュレーションが変更されたことで、2019年シーズンは各マニュファクチャラーの出力が低下する事が予想されていた。

一昨年、一部メーカーがエンジンオイルや添加剤を燃料として使うことで、予選の際に一時的なブーストを得ているのではとの噂が立ち上がった。規約では燃料の流量と使用可能量を厳格に定めているが、抜け穴を探すことがF1のDNAである以上、議論が沸き起こるのは常だ。

市販車でも同じことだが、そもそもエンジンを可動させていればエンジンオイルは減るもの。そこでFIA国際自動車連盟は現在、100kmの走行につき0.6リットルまでのエンジンオイル消費を許容している。だたしこれは決勝レースを想定した規定であり、事実上予選は対象外であった。

そこでFIAは2019年に、予選中のオイル追加投入を禁止する事に加えて、補助用のサブオイルタンクを空にする新たな規制を付け加えた。そのため、所謂予選モード(メルセデス風に言えばパーティーモード)によるゲインが減少。低下量がPU開発による上昇幅を超えると考えられていた。

伊motorsport.comは、バーレーンGP予選Q3におけるメルセデスとフェラーリのエンジン出力は匹敵しており、両者ともに990馬力を発揮していると推計。ホンダはトップ2チームより38馬力低く、ルノーはそのホンダよりも7馬力低かったとの調査結果を報じ、シューマッハの「1000馬力」発言とは裏腹に、今季パワーユニットは大台には乗っておらず昨年よりもパワーダウンしていると結論づけた。

メーカー 馬力
メルセデス 990 0
フェラーリ 990 0
ホンダ 952 38
ルノー 945 45

なお、メルセデスのルイス・ハミルトンとレッドブルのヘルムート・マルコは、ホンダとトップ2チームとの馬力差は10馬力だと発言しており、先の推計値とは大きく異なるが、各PUのパワーの絶対値については何も語ってはいない。

車重についてはほぼ正確な数値が分かる上に速度を計測することは容易く、エンジンから路面を駆動するタイヤまでの経路の合計抵抗値と車体のドラッグレベルが分かれば、ある程度信頼のおける数値を算出する事は可能とされるが、結局のところ、それが実際に正しいかどうかを知るのは各チームの内部関係者だけだ。

仮に先の推計値に2%の誤差が生じていたと過程すると、ホンダとトップチームとのギャップはほぼ解消されてしまう。序列に関してはさて置き、あくまでも第三者が算出した推計値である事には注意が必要だろう。