ジェンソン・バトンcopyright Honda Racing

ジェンソン・バトン、アロンソのためだけに富士日程変更を決定したFIA WECを批判

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FIA世界耐久選手権(WEC)の第4戦富士6時間レースの開催日程が変更されたことに対して、F1ワールドチャンピオンのジェンソン・バトンをはじめとする現役ドライバー達から疑問と批判の声が上がっている。

WECは2月9日、トヨタのお膝元、富士スピードウェイで行われるレースを1週間前倒しの10月14日(日)に開催することを発表。既に公式に確定済みのカレンダーが変更された背景には、F1世界選手権で2冠に輝いたフェルナンド・アロンソの電撃参戦があった。

1月30日、トヨタ・ガズーレーシングは、マクラーレンF1チームのアロンソを起用する事を発表。アロンソを全てのレースに参戦させたいWEC、トヨタ、FIA国際自動車連盟の三者は、F1アメリカGPの開催とバッティングしている富士6時間のリスケジュールを模索、変更に至った。

「一人のドライバーのためにレース日程が変更されるのは残念なことだ」とバトン。「例えばIMSAやSUPER GT等、WEC以外でも契約を持っている多くのドライバー達が不利益を被ることになるし、そういった他のカテゴリのファンにとっても歓迎できない出来事だ」

複数のシリーズに並行参戦しているドライバー達は、複雑に絡み合う各々のレース開催日程を考慮し、難しい調整を済ませてチームとの契約を締結している。そのため、公に正式な日程が発表されたカレンダーを変更する事は、利害関係者はもとより、多くのドライバーに影響を与えることになる。

IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権プチ・ル・マンとSUPER GT 第7戦オートポリスは、当初WEC富士の開催日であった10月21日にレースを予定していたが、富士との衝突を避けるために1週間前倒しの14日開催にリスケジュールした経緯がある。それだけに、批判の声が上がるのは必至と言える。

当該レースの参戦契約を締結済みの全てのWECドライバー達は、契約の見直しと再調整を迫られる。改定後のスケジュールでは、トヨタWECドライバーの中嶋一貴や小林可夢偉らが、SUPER GT 第7戦オートポリスに参戦することは不可能だ。

憤りを表明しているのはバトンだけではない。LMGTE-Proクラスのフォード・チップ・ガナッシ・チームUKからWECへのフル参戦が決定しているオリヴィエ・プラは、怒りを爆発させる。

「WECはよくもそんな決定をしてくれたもんだね。信じられないよ。十分な検討を踏まえたとは言い難いし、同じ週末に開催されるNAECに出場するためにIMSAのチームと契約しているドライバー達へのリスペクトが欠如している。あり得ないことだ。憤慨しているのは僕だけじゃないはずさ」

変更検討が報じられた際にいち早くこの問題を指摘したのは、LMP2クラス優勝経験を持つオリバー・ジャービスであった。ジャービスは「WECやトヨタ、富士スピードウェイにとって商業的な利益が絡んでいる事は理解できるけど…」と前置きした上で、次のように苦言を呈していた。

「WECやトヨタ、富士スピードウェイにとって商業的な利益が絡んでいる事は理解できるけど、既に決定している現行のスケジュールに基いて契約を済ませている他のドライバー達は一体どう思うだろうね?彼らは長年にわたってこの選手権に忠誠心を捧げてきたというのに」

ジャービスの問題提起に対して、多くのドライバーがこれを支持した。昨年のル・マン24時間LM-GTEプロ2位のピポ・デラーニ、先日のデイトナ24時間レースで総合優勝を果たしたフェリペ・アルバカーキらがジャービスの意見に賛同。SUPER GTやスーパーフォーミュラの参戦等で日本でも人気のジョアオ・パオロ・オリベイラはSNSを通じて「よくぞ言った!」とジャービスの勇気を褒め称えていた。