ピレリのソフトタイヤを履くレッドブルRB14、2018年F1中国GPにて
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トップ10進出を避け、意図的に予選Q2を敗退した方が有利?2018年 F1中国GPタイヤ戦略

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2018年第三戦中国GPでは、これまでの2戦とは異なるバラエティーに富んだタイヤ戦略が見られるかもしれない。

公式タイヤサプライヤーのピレリが’18年シーズンの上海インターナショナル・サーキットに持ち込んだのは、ウルトラソフト、ソフト、ミディアムの3種類。一部チームにとっては、最も柔らかく最も速いとされる紫色のウルトラソフトの優位性がそれほどでもなく、かつライフが極めて低そうな傾向にある、というのがその主な理由だ。

気温・路面温度ともに低かった初日における各コンパウンドの最速ラップタイムは、ウルトラソフトが1分33秒482、ソフトが34秒062、ミディアムが34秒387となっており、記録上は各コンパウンド間のギャップが接近。ただしその見解はチーム毎に異なるようで、マクラーレンのストフェル・バンドーンはソフト・ウルトラソフト間のタイム差を「大きい」と評し、メルセデスのルイス・ハミルトンは「どのタイヤも大差ない」と一蹴した。

一方で、最速ウルトラソフトのライフに関しては、メルセデスを除いてある程度は見解が統一されている。デグラデーションが酷く10周程度でのピットストップが濃厚とみられており、決勝タイヤとしての性能はあまり期待できそうにない。ハースのロマン・グロージャンは1周しか保たないと語り、レッドブルのダニエル・リカルドは1周すら保たないとこぼした。

ピレリのレーシングヘッドを務めるマリオ・イゾラは、チーム間のこうした差異は天候によるものが大きい、と説明。金曜・土曜とは異なり、決勝が行われる日曜は晴天が予想されており、状況をより一層難しいものにしている。

メルセデス、フェラーリ、レッドブルの所謂3強チームであればソフトでの予選Q3進出が可能な状況だが、中団グループの中の「ウルトラとソフトとのギャップが大きい」チームにとっては、ウルトラ使わずしてこれを達成するのは難しい。とは言え、Q2での自己ベストをウルトラソフトで記録してしまうと、保ちの悪いウルトラで日曜の決勝をスタートせざるを得なくなる。

そのため、ミッドフィールドのチームの中には、意図的にQ2敗退を選択し決勝を新品のソフトタイヤでスタートするチームが出てくる可能性が大いにある。初日のリザルトを見る限り、Q3進出が有望視されるのはルノーとハース。彼らは予選Q2でどのコンパウンドを履くのだろうか?

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