ホンダF1、エンジン性能問われるカナダGPを警戒「回生エネルギーの使い方が肝」
カタロニア・サーキット、モンテカルロ市街地コースと、特性の異なる2つのレースで好結果を収めてきたホンダだが、現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは「カナダは別の種類のサーキット」であり「回生エネルギーの使い方が肝」になるとして、気を引き締めている。
2019年FIA F1世界選手権第7戦カナダGPの舞台となるジル・ヴィルヌーブサーキットは1周4361m、全13コーナーから構成され、直線とシケインでレイアウトされたエンジン全開率60%を超えるトラック。ピットとパドックを一新し、今年40回目のグランプリ開催を迎える。
DRS区間は全部で3つ。13コーナー手前では8速340km/hにも達し、エンジンパワーがラップタイムに与える影響が大きなサーキットとして知られる。また、ブレーキへの負荷はカレンダー最大とも言われ、度重なるハードブレーキングによって制動力が失われ、トラブルが発生する事も少なくない。
「今シーズン初の4台入賞という結果を得られたモナコでのレースを終え、次はいったんヨーロッパを離れてカナダへと向かいます」と田辺TD。「ここまで、スペイン、モナコと、異なるタイプのサーキットでいいパフォーマンスを発揮できたことはポジティブに捉えていますが、ここカナダはまた別のタイプのサーキットですので、その特性に合わせた準備を進めています」
「今回レースが行われるジル・ヴィルヌーブサーキットは、ロングストレートとタイトな低速コーナーが特徴です。またパワーセンシティビティが高く、パワーユニットの性能が重要になるトラックとして知られています。低速コーナー進入時のブレーキングで充電したバッテリーの電力をストレート区間に配分するのですが、ロングストレートを始め、それぞれの箇所にどのように配分していくかなどが鍵になります」
失策と低速コーナーでのダウンフォース不足によって、直近のライバルであるフェラーリが躓いた事もあり、レッドブル・ホンダは前戦モナコGPで4台同時入賞の活躍を演じたが、ジル・ビルヌーブのコース特性はフェラーリSF90とマッチしており、今週末は調子を取り戻してくる可能性がある。
田辺TDは最後に「個人的には、1992年にゲルハルト・ベルガーとともに勝利を挙げた思い出がある場所です。今回もいい結果を得られればと思っています」と付け加えた。田辺TDは1990年から1992年までベルガーの担当エンジニアとしてマクラーレンに加入。ホンダF1第二期最終年となった92年、ベルガーは第7戦カナダと最終オーストラリアで優勝し、5年ぶりにシーズン2勝を記録した。
© Honda、ゲルハルト・ベルガーと田辺豊治。2018年F1オーストリアGPでの再会
ドライコンディションとなった昨年のグランプリでは、スクーデリア・フェラーリのセバスチャン・ベッテルがポール・トゥ・ウイン。2位はメルセデスAMGのバルテリ・ボッタス、3位にはレッドブルのマックス・フェルスタッペンが続き、予選トップ3がそのまま表彰台に上がった。
F1カナダGPは、日本時間2019年6月7日(金)23時からのフリー走行1で幕を開ける。