ファンの声援に応えるアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月18日F1カナダGP予選
Courtesy Of Alpine Racing

アロンソ「大した意味はない」F1カナダで10年ぶり最前列…勝因と決勝の目標順位、老いと経験を語る

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BWTアルピーヌのフェルナンド・アロンソが2022年のF1第9戦カナダGP予選で2番手タイムを刻み、2012年のドイツGP以来、実に10年ぶりとなるフロントローを獲得した。

ジル・ビルヌーブ・サーキットでの開催はパンデミックの影響で3年ぶりだった。角田裕毅をはじめとして初走行となる若手も少なくない中、豊富な経験を武器に雨の影響で移り変わる路面状況を見極め、ミスのない完璧な走りを披露した。

2005年に当時のF1史上最年少タイトルホルダーとなったアロンソも今やすっかり年を取り、来月末に41歳の誕生日を迎える。

ポールタイムを刻んでアロンソと共に19日の決勝レースで1列目に並ぶマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は「フェルナンドは少し年を取ったけど、今も変わらず本当に速い」として、憧れの英雄と並んでレースをスタートする事を喜んだ

予選を終えてグリッド上で会話を交わすアルピーヌのフェルナンド・アロンソとレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年6月18日F1カナダGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

予選を終えてグリッド上で会話を交わすアルピーヌのフェルナンド・アロンソとレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年6月18日F1カナダGP

目標は「ターン1で強襲を仕掛ける事」

決勝での目標について問われたアロンソは「1周目にリードを奪う事だ。つまりターン1で強襲を仕掛けるって事だ」と答えた。

ただ、厳しいF1の現実を知る40歳のスペイン人ドライバーは、リザルト的には何も優勝を狙っているわけではない。

「順位については何とも言えないね。4位、5位、6位が誰になるか、なんて事はね。明日のレースで現実的にどんな可能性があるのかはよく分からない。ただ、5位以内を目標に戦うべきだとは思う」

「スタートポジションはかなり良いけど、同時に自分達の限界についても分かってる」

「既に多くのレースで明らかなように、フェラーリとレッドブルは例え最後尾からスタートしたり、1周目にパンクしたりしても、僕らに対して十分なマージンを築いてフィニッシュするわけだから、トップ4は既にロックされてると思う」

「だから5位っていうのは僕らにとっては勝利に等しい結果で、たぶんそこが僕らの目指すべき場所なんだと思う」

「どうなるかは分からないけど、勝利について考えるのは全く非現実的な話だと思う。僕としてはテレビの前で見てくれているみんなのために、彼ら(フェラーリとレッドブル)が良い戦いを繰り広げてくれる事を願ってる」

予選を終えてP2ボードの前にクルマを停めるアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月18日F1カナダGPCourtesy Of Alpine Racing

予選を終えてP2ボードの前にクルマを停めるアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月18日F1カナダGP

フェルスタッペンは「別次元」

インターコンディションで行われた直前のFP3ではトップタイムを記録した。故に予選Q3終盤に向けてドライへと路面状況が変化していった際、アロンソは更なる雨を望んでいた。

「Q2以降、そして最終的には殆どドライになっていったから、もう少し雨が降ってくれれば良いのにって思ってたんだ。それが僕ら的にベストだと思ったからね。でも結局、そんな必要はなかった。セミドライでも何も問題なかった」

同じ最前列とは言え、ポールのフェルスタッペンとのギャップはコンマ5秒と開いた。その事を告げられたアロンソは「…そんなに(笑」と呆れた様子を見せた。

「間違いなく別次元だね。ポールポジションなんて夢にも思ってなかった。その結果、1列目になったわけだから、予想外に良かったと言うことだろうね」

「それでもまだダウンフォースが少し足りないし、クルマ全体のグリップも足りてはいない」

2番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の肩を叩く予選ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年6月18日F1カナダGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

2番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)の肩を叩く予選ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2022年6月18日F1カナダGP

最前列獲得の要因は?

コースとの相性なのか、それとも単にクルマに競争力があったのか? 最前列を掴んだ要因についてアロンソは「分からないけど…」と前置きして次のように語った。

「今週末は最初からクルマが良かった。FP1の1周目から感触が良かったから、セットアップを大幅に変える事はなく、あまり実験的な事もしなかったし、それが自信に繋がったんだと思う」

「ここはリズムを刻む必要があるサーキットなんだ。上手く縁石を使わなきゃならず、その一方で路面はかなりバンピーだ。これは何年も前から変わっていない」

「パンデミック以降、カナダでは殆どレースが開催されていなから、グリッドの半分くらいのドライバーはここに来るのが初めてか、2回目なんじゃないかと思う」

「僕は16、17年にも渡ってここでレースをしてきた。そのせいかどうかは分からないにせよ、いつも言っているように、年齢や経験は常に助けになる。決してマイナスにはならない」

「色々な事が重なったんだと思う。通常の予選ではなかったし、ノーマルな1日でもなかった」

「FP1はコースがかなり汚れていて、FP2になってグリップも良くなりノーマルな感じになってきたと思ったらFP3はウェットで、予選はセミドライだった」

「つまり2セッション連続で同じコンディションが続く事がなく、直面する新しいコンディションに素早く適応する必要があったって事だ」

「僕らはクルマに自信を持っていたしセットアップも上手くいっていたから、50%はチームの力、そしてもう半分はドライバーの力によるものだと思う」

インターミディエイトタイヤを履いて水しぶきを上げながらジル・ビルヌーブ・サーキットを走行するアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月18日F1カナダGP予選Courtesy Of Alpine Racing

インターミディエイトタイヤを履いて水しぶきを上げながらジル・ビルヌーブ・サーキットを走行するアルピーヌのフェルナンド・アロンソ、2022年6月18日F1カナダGP予選

無意味なフロントロー

予選を含めた週末の流れと出来に満足するアロンソだが、それに意味がない事は百も承知だ。

「今日は全てが上手くいったけど何の意味もない。土曜はノーポイントだからね」とアロンソは語る。

「フロントロウの重要性? 大した意味はない」

「自分が何処までやれるかは分かってる。より良い仕事ができる時もあれば、そうでない時もある。そして僕は改善しようと努力している」

「僕はこの2シーズンに渡って懸命に仕事に取り組んできた。だからつまり、気分は良いんだけど、(予選結果には)何の意味もない。レースは明日だ。良いレースをしなきゃならない」


2022年のF1カナダグランプリ予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、3番手はカルロス・サインツ(フェラーリ)という結果となった。

2022年F1カナダグランプリ決勝レースは日本時間6月19日(日)27時にフォーメーションラップが開始され、1周4,361mのジル・ビルヌーブ・サーキットを70周する事でチャンピオンシップを争う。

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