元マクラーレン・ホンダF1の「バトン&アロンソ」、インディカーで再演の可能性
3台目の投入が囁かれていたインディカー・シリーズのマクラーレンSPについて、ザク・ブラウンCEOが具体的なドライバーの名を挙げた。ロン・デニスの後釜として最高経営責任者を務めるアメリカ出身のビジネスマンは、フェルナンド・アロンソに加えて2009年のF1ワールドチャンピオンに輝いたジェンソン・バトンと、NASCARが誇るレジェンド、ジミー・ジョンソンが参戦に興味を示していると明かした。
シュミット・ピーターソン・モータースポーツとの提携によって今季インディカーへのフル参戦を果たすマクラーレンは、元レッドブル・ジュニアのパトリシオ・オワードと昨季インディライツ王者のオリバー・アスキューをレギュラーとして起用。アンドレッティとの契約話がまとまらなかったとされるアロンソをインディ500にスポット参戦させる事を明らかにしている。
スペインの英雄に関しては、インディ500の直前に同じIMSで開催されるロードレースへの出場が噂されていたが、ブラウンCEOは英Autosportのポッドキャストの中で、伝統のオーバル戦以外でもシボレーエンジンを積む3台目のマシンを走らせる可能性に触れ、アロンソだけでなくバトンとジョンソンを含めた3名のベテランと話し合いの場を持った事を認めた。
アロンソとバトンというF1王者タッグは、常勝の夢を引っさげてF1で3シーズンを戦った第二期マクラーレン・ホンダのレギュラーコンビというだけに留まらず、世界のモータースポーツ界におけるトップレベルの知名度と集客力を誇るネーミングの組み合わせだ。
バトンはマクラーレンの母国イギリスの英雄であり、ジョンソンもまたマクラーレンが最重要視する市場の1つである米国モータースポーツ界が誇る伝説的なドライバーとして絶大な人気を誇る。マーケティング面に限って言えば、ドライバー側が希望すればマクラーレンとして乗せない理由を探す事は難しい。
つまり”平時であれば”、話題性に溢れる電撃的なニュースが世界を沸かせる可能性があったわけだが、議論が行われた当初とは異なり、今は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界的に猛威を振るっている。
ブラウンCEOは新型肺炎の影響でテスト走行の機会が実質的に制限され兼ねない状況に触れて、「残念ながら今年の実現は難しいかもしれない。プロ意識の高い彼らが、適切なテストをせずにマシンに飛び乗るとは思えない」と語る一方で「だがこの内の1人、いや3人全員があるタイミングでインディカーに乗ったとしても私は驚かない」とも述べた。
確かに2020年シーズンの参戦の公算は低いかもしれない。だがバトンは今年の1月に40歳を迎え、ジョンソンは9月に45歳、そしてアロンソは7月に39歳の誕生日を迎えるわけで、1年・2年という僅かとも思える期間の違いが、フォーミュラでのキャリアの終焉に繋がりかねない円熟の年を迎えているとも言えるだけに、今年と言わずとも期待せずにはいられない。