MCL32の整備にあたるマクラーレンのメカニック
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ホンダとの決別なくしてマクラーレンが自らの欠点を認識する事はなかった、とロス・ブラウン

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F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、ホンダとの決別なくしてマクラーレンが自らの欠点を認識する事はなかったと考えている。両者は2015年にF1パワーユニット供給契約を締結し、80年代の黄金期再来を目指したが、表彰台に乗ることすらなく2017年末を以て関係に終止符を打った。

マクラーレンと手を切ったホンダは、2018年に伊ファエンツァのスクーデリア・トロロッソと提携。同年のバーレーン戦では4位入賞の快挙を果たす活躍を残した。そして昨年はシニアチームのレッドブル・レーシングと新たにタッグを組み、シーズン後半はコンスタントに優勝争いに絡めるほどの実力をつけた。

日本の自動車メーカーがレッドブルと共に成功街道を歩んでいるにも関わらず、英Autosportの報道によるとロス・ブラウンは次のように述べ、ホンダとの契約解消はマクラーレンにとって必要不可欠な事であったとの考えを示したという。

「人々は、ホンダを排除した事は大きな間違いだったと言うが、チームが何をすべきかを認識にするために必要なことだったと私は考えている。奇妙な話ではあるがね」

「彼らは常にホンダを非難していたが、今はそれが事実を反映した行いでなかった事に気付いているはずだ。ホンダを追いやってベンチマークを手にしたことで、彼らは(エンジン側ではなく)他でもないチーム側に対して手を打つ必要性を認識したのだ」

「ライバルチームが実際に使用しているエンジンを積まずして、マクラーレンがこの結論に到達出来たかどうかは疑わしい。(ホンダと決別した事によって)、彼らはエンジンよりも遥かに重大な問題を抱えていることを認識した。何かを変える必要に迫られた結果、彼らは非常に理にかなった手を打ったと私は思う」

「グリッド最速の車体」を持つと自認していたマクラーレンは、ホンダとの決別によって晴れて念願のルノーエンジンを手にしたものの、同じエンジンを積むレッドブルと同じようなパフォーマンスを発揮する事は出来ず、競争力不足の原因がシャシー側にもある事を理解し、テクニカルチームの再編を含めて抜本的な対策に着手した。

結果としては一連の取り組みが功を奏し、ウォーキングのチームは2019年シーズンにミッドフィールドを席巻。ワークスのルノーを打ち破ってコンストラクター4位と大金星を上げてみせた。

2021年に技術・競技・財務の各ルールが一新される事を受け、マクラーレンは2023年シーズンに優勝争いに加わるとの目標を設定した。今季は、コンストラクター4位の座を守るに十分な性能を持つマシンを用意しつつ、新時代からの躍進を狙って一年後以降を見据えた作業に多くのリソースを投じることになる。