6番グリッド大躍進、パフォーマンス改善を実感するマクラーレン・ホンダ / F1ブラジルGP《予選》
ホンダF1率いる長谷川祐介総責任者は、アメリカラウンド以降マクラーレン・ホンダの競争力が向上していることを実感している。11日(土)に行われたブラジルGP公式予選ではフェルナンド・アロンソが7番手をマーク、宿敵レッドブルのダニエル・リカルドが降格ペナルティを受けるため、日曜の決勝では6番グリッドスタートとなる。
メキシコGP以降、ルノーエンジン勢が相次いでトラブルに見舞われる中、ホンダパワーユニットは安定した信頼性を発揮している。アロンソは「かなりの競争力がある。ここ最近のマシン性能は格段に向上してきている」と語り予選結果を素直に喜んだ。マクラーレンのレーシングディレクターを務めるエリック・ブーリエは「予選7位はマシンの真の実力を反映している」とコメントし、決勝でのアロンソの走りに期待を寄せている。
15コーナーから構成されるインテルラゴスはエンジン全開率が60%と高くはなく、燃料消費量が少ないが故にエネルギー回生も問題とはならない。HDRさくらの努力の甲斐もあって高地対策が有効に機能しており、標高800mのインテルラゴスでもホンダは一定程度の速さを発揮している。
アロンソの後塵を拝したストフェル・バンドーンは13番手止まりであったが、FP2以降食中毒に苦しんでおり、それを考慮すれば悪くない結果と言える。初日を終えてバンドーンが語ったように、マクラーレン・ホンダのロングランペースは「今季最高レベル」にあり、その点に関して決勝に向けての展望は明るい。ただし、予選でのスピードトラップではアロンソが19位バンドーンが20位と、最高速度で最下位に沈んでいる。
インテルラゴス・サーキットの一番のオーバーテイクポイントは、スピードトラップが観測されるホームストレートエンド。最高速を記録したエステバン・オコンとのスピード差は時速17kmと開きがあり、MCL32の空気抵抗の大きさを物語っている。決勝で直近のライバルとなりそうなルノー勢とのスピード差が小さいのは救いと言えよう。
F1ブラジルGP公式予選を終えて
長谷川 祐介ホンダF1プロジェクト総責任者
今日は昨日に比べて気温が低くなりましたので、午後の予選に向けて最高の準備をすべく、FP3でセッティングを調整する必要がありました。フェルナンドは一日を通して終始競争力を発揮し、予選では力強い走りをみせて7番手を記録しました。ライバルがエンジン交換ペナルティを受けるため、フェルナンドは6番グリッドからレースをスタートすることになります。彼の今日のパフォーマンスは輝かしく見えました。
このテクニカルなサーキットを初めて走るストフェルにとっては、かなり難しいチャレンジとなりました。それを考えれば、13番手という結果は悪くないものだと思います。パワーユニットに関して言えば、今日は問題のないスムーズな一日でした。ここ数戦でマシンのパフォーマンスは改善してきています。明日のレースを楽しみにしていますし、この勢いを維持できることを願っています。
エリック・ブーリエレーシングディレクター
フェルナンドの予選は実に華麗でした。彼は週末に渡って非常に良い流れを掴んでおり、その情熱と献身的な態度は本当に素晴らしいものです。予選7位という結果はマシンの本当の実力を証明するものでした。彼は今週末のすべてのセッションでトップ10に入っており、バランスに悪影響を与えていたアンダーステアが改善されていれば、更なる可能性を示せたと思います。
6位スタートという点と、昨日のレースシミュレーションでの有望なペースを考えれば、彼は明日素晴らしいショーを繰り広げてくれるでしょう。
昨晩から食中毒に苦しんでいるにもかかわらず、ストフェルはストイックに戦い続けてくれました。体に負担がかかっているのは明らかですが、それでもなお彼は上手くドライブしてくれました。
インテルラゴスではバランスが完璧なマシンがなければ、一周をパーフェクトにまとめ上げるのは困難です。ストフェルは、マシンのスウィートスポットを見つける事ができていないようでした。ですが、彼は車のポテンシャルを感じ取っていますし、明日は全力でプッシュしてくれる事でしょう。
2017年第19戦ブラジルGPの決勝は、日本時間11月13日(月)午前1時からインテルラゴス・サーキットで行われる。レースは全長4,309mのコースを71周することで争う。昨年の上位勢のタイヤ戦略は1ストップが主流。現地予報ではドライコンディションが予想されている。最後尾からのハミルトンの追い上げ、ハミルトンのサポートから開放されたボッタスの走り等、タイトルは決しているものの見どころは多い。