今週末に控えた第19戦F1ブラジルGPに先立って、マクラーレン・ホンダの首脳陣とフェルナンド・アロンソ、ストフェル・バンドーンの両ドライバーがコメントを発表した。舞台となるインテルラゴス・サーキットは、マクラーレン・ホンダのマシンパッケージに少なからずマッチしており、過去2戦よりも好成績が期待される。

15個のコーナーから構成される全長4,309mのインテルラゴスは、エンジン全開率が60%とさほど高くはなく、燃料消費量が少ないためにエネルギー回生もあまり問題とはならない。また、メキシコシティでのレースで明らかとなったように、今季のホンダエンジンは高地対策が有効に機能しており、メキシコに次ぐ標高のインテルラゴスでも、直近のライバルであるルノーに対して優位に立つ可能性は少なくない。

かの有名な2008年のフェリペ・マッサ幻のワールドチャンピオンに象徴されるように、サンパウロの南部に位置するインテルラゴスは天候が不安定な事で知られており、決勝では度々大波乱が巻き起こる。そのため、混戦が予想される中段グループから脱し、可能な限り予選上位グリッドを獲得する事が、不要なアクシデントを避ける有効な手立てとなる。

マクラーレン・ホンダ：ブラジルGPへの抱負

長谷川 祐介ドライバビリティを重視したPUが必要

アメリカとメキシコでの2連戦を終え、今シーズンも2戦を残すばかりとなりました。我々はシーズン中唯一の南米レースとなるブラジルに向かいます。前戦メキシコGPでは、グリッド後方スタートだったにもかかわらず、フェルナンドが力強い走りを披露し貴重な1ポイントをチームに持ち帰ってくれました。苦戦を予想していただけに勇気づけられる結果となりました。

インテルラゴス・サーキットは全長4.3㎞ほどの短いサーキットです。コース全体の高低差が激しく、低速・中速・高速と様々な種類のコーナーを有しているのが特徴です。低速が連続する第2セクターと、高速で上り坂を駆け抜ける第3セクターが特に重要になるでしょう。パワーユニット側としては、スムーズなコーナリングを実現するためドライバビリティーを重視したセットアップが求められます。

インテルラゴスは、1991年にアイルトン・セナがマクラーレン・ホンダとともに優勝した特別な思い出があるサーキットです。ファンの皆さんの記憶に残るようなレースをお見せできればと思っています。

フェルナンド・アロンソ予選で可能な限り上位を目指す

インテルラゴスは素晴らしい歴史を持つ最高の古典的コースの一つだね。たくさんの有名ドライバー達が勝利してきた場所でもある。アクシデントが起きたり天候による波乱があったりと、シーズン中最もドラマがあるグランプリとも言えるね。

ここ2戦よりもマクラーレン・ホンダのマシンに合ってるサーキットだと思うよ。決勝では混乱が起きる可能性が高いから、予選でできるだけ上を目指さなきゃならない。一周は短いけど、流れるようなレイアウトだから走っていて楽しいし、今年のF1マシンでは今まで以上に速く感じるだろうね。

最終コーナーで良いリズムが掴めればホームストレートから1コーナーへの進入がうまくいくし、次のラップに向けて思い切り攻めることができるんだ。こういう部分がこのサーキットをエキサイティングなものにしてるんだ。

アメリカとメキシコでは厳しい結果を予想してたけど、ブラジルとアブダビではほんの少し期待ができる。メキシコでの成績はサプライズだったね。天候を考慮しつつリスクを取った戦略で挑まなきゃならないから今週末も難しいレースになると思うけど、予選が上手く行けばポイント獲得のチャンスは十分にあるはずだよ。

ストフェル・バンドーンシミュレーターでの準備はバッチリ

初めて走るブラジルを楽しみにしてるんだ。ファンからもドライバーからも人気があるからね。インテルラゴスは今までに何度もタイトルが決した場所だよね。セナやプロストをはじめとする偉大なドライバーたちがF1の歴史に残るような勝利を挙げてきたんだ。

初めての走行になるけど、エンジニアの皆とシミュレーターを使ってたくさん準備してるから、金曜の午前にコースへ出る時には万全の状態でプッシュできるはずさ。レイアウトにも慣れてるだろうから、フェルナンドと共にFP1からマシン調整に取り組んで、コースに合わせたセットアップを進めていくつもりだよ。チームに有益なフィードバックができると思う。

ここでのレースでは何が起きるか分からないから予選が重要だね。メキシコと同じようにブラジルでも最高のスタートを決めて大きく順位を上げられればチャンスがあるはずだよ。トラブルに巻き込まれずにクリーンなレースができれば、その可能性は十分あると思う。

週末が楽しみで仕方ないし、ブラジルの熱狂的なファンが作り出すあの独特な雰囲気が味わえるかと思うと今からワクワクしちゃうね。

エリック・ブーリエレーシングディレクター

インテルラゴスは素晴らしい街であるだけでなく、我々マクラーレンにとってはドラマティックなレースを繰り広げてきた場所でもあります。カレンダー中で最も有名なサーキットの一つであり、ゆるやかに波打ったレイアウトを持つコースです。マシンとドライバーだけでなくチーム全体が力を試される場所です。

インテルラゴスではレース展開が読めない事が多く、これまでに多くの波乱が起きてきました。メカニックやエンジニア、そして戦略を担当するストラテジストにとっても厳しい週末になるはずですし、天候による影響も考慮しなければなりません。コンディションに合わせたピットタイミングがポイント獲得の分かれ目となりますが、ギャンブル的な側面もありますし、それがエキサイティングなレースを演出する事にもなります。

マクラーレン・ホンダにとっては、過去2戦よりもパッケージにマッチしているだけに少しばかり期待を持っています。ドライバーはふたりとも準備万端ですし、チーム全員がブラジルのファンの素晴らしい声援を楽しみにしています。

2017年第19戦F1ブラジルGPは、日本時間11月10日(金)午後21時から始まるフリー走行で幕を開ける。

F1ブラジルGP特集