ピエール・ガスリー、故ユベールに捧ぐ殊勲の8位「アントワーヌのためにも好成績を残したかった」
悲劇的な事故に巻き込まれ1年前にこの世を去った親友のためにも良い結果を残したい…そう心に誓ってスパでの第7戦に挑んだアルファタウリ・ホンダのピエール・ガスリーは、胸を張って次戦モンツァへと向かう。
30日に行われたF1ベルギーGPでガスリーは、全20台の中で唯一ハードタイヤを履いて12番グリッドからレースに臨んだ。アントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)の単独クラッシュにより、11周目というレース序盤にセーフティーカーが導入された事で戦略が台無しになってしまったものの、ガスリーは決して諦める事なく集中し続けた。
一時は4番手を走行しながらも、26周目のピットインによってポイント圏外の16番手にまで転落したガスリーはその後、怒涛のオーバーテイクを重ねてポイント圏内へと上り詰めていった。
ますはニコラス・ラティフィ(ウィリアム)を料理すると、ケビン・マグヌッセンとロマン・グロージャンのハース勢と交わし、フェラーリのセバスチャン・ベッテルも難なくパス。34周目に、フェラーリエンジン勢最上位を走行していたキミ・ライコネン(アルファロメオ)を捉えた。
ピットはダニール・クビアトに対してガスリーを前に行かせるよう指示。最終シケインでクビアトの前に出て10番手にまで浮上したガスリーは、前を行くレーシングポイントに照準を合わせてハンティングを開始。セルジオ・ペレスとランス・ストロールを刈り込んで、見事8位でチェッカーフラッグを受けた。世界のF1ファンたちは、この日のDriver of the Dayにガスリーを選んだ。
昨年のFIA-F2選手権スパで事故死したアントワーヌ・ユベールは、ガスリーにとって幼少期から切磋琢磨し合ってきた親友だった。レース前の国歌斉唱セレモニーの前には、ユベールを偲んで1分間の黙祷が捧げられた。
数々のオーバーテイクの中でも、特に2周目のオー・ルージュにかけてのセルジオ・ペレス(レーシングポイント)とのサイドバイサイドは圧巻だった。
マシンの競争力を考えれば優勝にも等しい見事な走りを披露したガスリーに対して、チームは「なんてドライブだ!最高のリカバリーだ。アメージングだ。本当に本当に良いレースだった。素晴らしい走りだ。最高に嬉しいよ」との賛辞を送った。
これに対してガスリーは「本当にありがとう。みんなありがとう。この日のレースは僕にとって大きな意味のあるレースだった。アントワーヌも楽しんでくれたかな」と返した。
アントワーヌのために良い成績を残したかった
ピエール・ガスリー決勝: 8位, グリッド: 12番手
僕にとって今日は凄く重要な1日だった。去年のことがあったから、何としてもアントワーヌのために良い成績を残したかったんだ。
チームとして2台で異なる戦略を取ることになり、僕はハードコンパウンドからスタートする事になった。何台ものマシンを攻略してオーバーテイク出来たし、期待していた以上に上手くいった。特に、ペレスとのバトルは強烈だったけど本当に楽しめた!
レース開始から20周目までの間にセーフティカーが導入される事になれば、僕らの戦略が台無しになってしまう事は分かっていたけど、残念な事に実際にそういう状況が起きていまい、ライバルがフリーピットストップを得る格好になってしまった。それでもクルマの調子は良くペースも良かったから、諦めずに全力でプッシュし続けた。
ピットストップを終えた後に、ほぼ最後尾にまで後退してしまったから、かなりの巻き返しが必要だったけど、それはそれとして楽しかったし、8位まで挽回できて本当に良かった! セーフティカーが序盤に導入された事によるロスタイムが約20秒ほどだったから、それさえなければ5位でフィニッシュ出来ていたと思う。
とは言え、大仕事をやり遂げてこうして挽回できたことは素晴らしいことだから、この結果には満足して良いと思う。ドライバー・オブ・ザ・デイに選ばれたのは嬉しいよ。投票してくれた全ての人に感謝している。この後に続くレースでも今日みたいなパフォーマンスを何度も披露できるように頑張るよ。
8月30日(日)にスパ・フランコルシャンで行われた2020年F1第7戦ベルギーグランプリ決勝レースでは、メルセデスのルイス・ハミルトンがポール・トゥ・ウインを飾り、今季5勝目を挙げた。2位はバルテリ・ボッタス(メルセデス)、3位表彰台にはマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が上がった。