2021年8月28日のF1ベルギーGP予選後のメディアセッションに応じるアストンマーチンのセバスチャン・ベッテル
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

動画:ノリス事故の報を受け、激昂するベッテルとエンジニアの緊迫のやり取り「だから赤旗を出せって言ったんだ!」

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ラ・ソースを越えてオー・ルージュへと向かう途中、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)に対し「レッドフラッグ、レッドフラッグだ。速度を落としてくれ」とのチーム無線が飛んだ。

「オー・ルージュでノリスが酷いクラッシュに見舞われた。大量のデブリが落ちている」

F1第12戦ベルギーGP予選は典型的なスパ・ウェザーの中で行われた。Q3の開始が近づくに連れ雨脚は強まっていったが、レースコントロールが赤旗を提示する事はなく、ポールポジション争いは危険な香りが漂う中、静かに開始された。

Q1とQ2をトップタイムで通過したランド・ノリス(マクラーレン)はアウトラップ中に自らアクアプレーニングを報告したにも関わらず、勇ましくも先陣を切って計測ラップに入っていった。

だがその直後、国際映像はオー・ルージュ脇のバリアに弾き返され激しくスピンするマクラーレンMCL35Mを映し出した。

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ノリスの後方を走行していたベッテルはクラッシュの報を聞くや否や怒り爆発させた。

無理もない。FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシに対して赤旗を要求した直後の出来事であったのだから。

「クソ!だからさっき僕は赤旗を出せって言ったんだ!!」

「こちらからは確認できないけど、デブリが大量にあるから気をつけてくれ」とエンジニア。

ベッテルはこれに応えず「クソッタレ!避けられたはずなのに!!彼は大丈夫なのか?」と怒り心頭ながらもノリスの容態を気遣った。

「まだ分からない。レースディレクターが無線を聞いてるから状況を報告して欲しい」

そう返答が寄せられると、ベッテルは大破したノリスが乗るマシンに近づいていき右手の親指を立てた。

ノリスはこれにサムアップで返した。

「大丈夫だ。彼は無事だ」

ノリスの無事を確認した際の心境についてベッテルは後に「心底ホッとした」と回顧している。

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予選を終えSky Sportsのインタビューに応じたベッテルはマイケル・マシの判断を批判した。

「僕らからの情報にもっと耳を傾けるやり方を考える必要があると思う」

「オー・ルージュを駆け上がる際に大量の水が出ていたから赤旗を要求したんだ。僕としてはセッションを開始すべきじゃなかったと思ってる」

「大事に至らなかった事が何より重要だけど、ランドにとって別の結果に終わった可能性もあった」

「水が少ない序盤(Q1)にセッションを延期しておきながら、(多くなった後に)どうして開始したのか全く理解できない」

「ガレージやテレビ映像から分かる事は本当に僅かしかない。でもマーシャルが雨や水が多いと報告しているのであれば、シグナルをグリーンにすべきじゃない」

「こうした事が2度と起きないようにする事が何よりも肝心だ」

「大事に至らなかった事を神に感謝したい」

ベッテルはその後、多くの情報が寄せられ対処しきれない可能性があるレースコントロールの立場に理解を示しながらも、セッションをスタートさせるべきではなかったとの当初の考えを改めて強調した。

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