僚友ピエール・ガスリーとの差は18cm…身長の低い角田裕毅は有利なのか? | 2021年F1ドライバー身長一覧
マシンの重量配分や、エアボックスへの気流並びにエアロダイナミクスへの影響が限定的という点で、レースの世界では一般に身長が小さい方が有利とされるが、アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は、身長の低いF1ドライバーが大きなアドバンテージを得る事はないとの考えを示した。
身長159cmと小柄な角田裕毅は、2021年シーズンのグリッドに並ぶ全20名のドライバーの中で最も背が低い。身長177cmのチームメイト、ピエール・ガスリーとの差は18cmに及ぶ。
以下のグラフと表は20名のF1ドライバー達の身長を集計したものだ。最も背が高いのはアルピーヌのエステバン・オコンで186cm、最も小さいのが角田裕毅で、その身長差は27cmと大きく開く。平均は176.75cmだ。
ドライバー | 身長 |
---|---|
エステバン・オコン | 186cm |
ジョージ・ラッセル | 185cm |
ニコラス・ラティフィ | 185cm |
アントニオ・ジョビナッツィ | 185cm |
ランス・ストロール | 182cm |
マックス・フェルスタッペン | 181cm |
シャルル・ルクレール | 180cm |
ダニエル・リカルド | 180cm |
カルロス・サインツ | 178cm |
ピエール・ガスリー | 177cm |
ニキータ・マゼピン | 176cm |
キミ・ライコネン | 175cm |
セバスチャン・ベッテル | 175cm |
ルイス・ハミルトン | 174cm |
セルジオ・ペレス | 173cm |
バルテリ・ボッタス | 173cm |
フェルナンド・アロンソ | 171cm |
ミック・シューマッハ | 170cm |
ランド・ノリス | 170cm |
角田裕毅 | 159cm |
文科省・学校保健統計調査によると、2019年の日本の20歳男子の平均身長は170.2cmであるが、英テレグラフの2019年の調べによると、世界で最も身長が高いボスニア・ヘルツェゴビナの男子平均身長は183.9cmと、国によって大きな開きがある事が分かる。ちなみに2番目に身長が高いのはマックス・フェルスタッペンの母国オランダで183.8mだ。
以下は身長差15cmのオコン(左)とフェルナンド・アロンソ(右)のシート位置を比較したものだが、ヘイローからの頭頂部の出方、頭部とインダクションポッドとの位置関係が大きく異なるのが確認できる。
開幕バーレーンGPの記者会見の中で、小さな背丈はF1においてアドバンテージになると思うかとの質問が飛ぶと角田裕毅は「アドバンテージはさほど大きくはないと思います」と返した。
「F1では自分で自由に決める事ができないため、重量配分という点でのアドバンテージは僅かだと思います。それほど大きなものではありません」
「空力に関しても、特に今のF1マシンは大柄なドライバーのために作られているので、僕にとっては大きな違いはないように思います」
アルファタウリ・ホンダ「AT02」のモノコックは前年型「AT01」と同一で、ガスリーとダニール・クビアト(175cm)を想定して開発されたものだ。角田裕毅は小さければ小さいなりの苦労があると説明する。
「まず、視界を確保するためにシートポジションを高くする必要があり、モノコック内部にかなりの量の発泡スチロールを入れなければなりませんでした。また、足がペダルに届かないため、かなり特殊なペダルケースも作りました」
隣に座っていたガスリーに対しては逆に「不利になると思うか?」との質問が投げかけられた。177cmのフランス人ドライバーは「僕は決して高くはなく普通だとは思うけど」とした上で、角田裕毅同様に身長差によって有利・不利が生じる事はないとの考えを示した。
「いやいや、そうは思わないよ。シャシーは僕やダニール(クビアト)向けにデザインされていて、チームとユーキは真っ当なシートポジションを得るために多くの時間を費やなきゃならなかったしね」
「それに僕ら位までの身長だと、視点を高くしようと思えばそうできるし、低くしようと思えば低くもできる」
「重量配分の件については、(上部ではなく)シートの下部に重しを置けるという利点はあるけど、ほんの極僅かだからアドバンテージもディスアドバンテージもないと思うよ」