アルピーヌF1チームのフェルナンド・アロンソ、2021年6月4日F1アゼルバイジャンGP初日にて
Courtesy Of Alpine Racing

フェルナンド・アロンソ、赤旗の代償なきF1予選ルールを問題視…クラッシュドライバーが利するのは「不公平」

  • Published: Updated:

アルピーヌF1チームのフェルナンド・アロンソは、予選でクラッシュしたドライバーがグリッドポジションを維持するという現行F1ルールは「不公平」であり、何らかの形で改善が必要だと考えている。

5日(土)にバクー市街地コースで開催されたF1アゼルバイジャンGP予選では、3ラウンドのセッションを通して5台がクラッシュを喫し、計4回の赤旗が振られた。これほどの数の赤旗が発生したのは2016年のハンガリーGP予選以来の事だった。

アロンソは開幕戦以来のQ3進出を果たして最終アタックに向かったものの、角田裕毅がクラッシュした事で計測を断念せざるを得ず、9番手というポジションでヘルメットを脱いだ。

前戦モナコGPでも同じような状況が発生し、予選時に赤旗の原因を作ったドライバーに対する処遇について議論が広がった。

モンテカルロでの予選では、暫定ポールタイムを刻んでいたシャルル・ルクレール(フェラーリ)が最終アタックの際にクラッシュを喫し、他車がタイム更新のチャンスを奪われる一方、事故を引き起こしたルクレールがポールポジションを獲得する結果となった。

幾つかの米国や日本のシリーズは、予選で赤旗を出したドライバーのファステストラップを抹消するルールを採用している。例えばインディカーのルールブック第8条3項4は「レッドコンディションを引き起こした車両は、当該セグメントのベスト2ラップタイムが無効とされ、そのセグメントでの走行を続けることはできず、次のセグメントに進む事もできない」と定めている。

銀の弾丸ではないインディカー式規約

インディ500への参戦経験を持つアロンソは、予選でクラッシュしたドライバーがグリッドポジションを維持できる現行のF1ルールは公平性を欠いていると指摘した。

「モナコでのルクレールの一件を経て、既に幾つかの議論が行われた事は承知しているが、更に大きな関心を集めていく事になるだろう」とアロンソ。

「というのも、今日は4、5台のマシンがミスを犯したが、いずれも明日のレースに向けて何の代償も払わないわけだからね」

「ミスをしなかった他のドライバー達にとっては些か不公平だと思う。でもまあ、ルールはそうなっているし、誰もがその事を頭に入れて週末に臨んでいる」

「時には僕も壁に激突してセッションを終えて、このルールの恩恵を受ける事もあるかもしれない」

「つまり今のルールはそうなっているわけだけど、ひょっとすると改善の方法を考える必要があるかもとも思うんだ」

「今日の予選はドライブしている僕らは勿論のこと、傍から見ていても楽しめなかったんじゃないかと思う」

「だって誰もが新品タイヤでのガチンコQ3勝負を見たいと思っているのに、毎回奇妙な結果に終わってしまうんだからね。きっと話し合いが行われる事になるのだろうと思う」

F1キャリア20年を誇る2度のF1ワールドチャンピオンは「思うに今日は、多くの連中が自分のクルマや自身の能力の限界を越えてドライブしていたんだろうと思う」と述べ、公道サーキットでは100%全開ではなく、2%余力を持って「98%」の力でプッシュすべきだと諭した。

F1アゼルバイジャンGP特集