アルピーヌ、災難続きで大規模アプグレ無駄に「かなり厳しい」とガスリー…更なる悪夢の可能性も
災難続きの滑り出しによってアルピーヌは今のところ、大規模アップグレードを全く活かせておらず、通常よりも遥かに高得点が与えられるF1アゼルバイジャンGPの週末を棒に振りかけている。
バクー市街地コースでの初日はアルピーヌにとってまさに悪夢だった。油圧系統のトラブルによりピエール・ガスリーの10号車はFP1で炎上。消火剤まみれとなり、パワーユニットとギアボックス一式の交換を余儀なくされ、予防措置としてエステバン・オコンも走行を途中断念した。
この結果、2台合わせて15周という全くデータが取れない状況の中で予選に突入。メカニックは懸命の作業によってクルマの修復を終えたものの、ガスリーはQ1でバリアに衝突してリタイヤを喫し、オコンもペース及ばず12番手のQ2敗退に終わった。
クルマを降りたガスリーは「本当に残念だし、チーム全体にとってかなり期待外れな厳しい1日だった」と振り返った。
「FP1では開始20分というところで油圧トラブルに見舞われ予定が狂ってしまった。チームのみんなはクルマを直すために素晴らしい仕事をしてくれた。予選開始1分前の事だった」
「さほど走れていないというトリッキーな状況の中、それほど遅くブレーキをかけたわけじゃないけど、ターン3に向けてのブレーキングが十分じゃなく、残念ながらアンダーステアになってウォールに突っ込んでしまった」
メルセデスやアストンマーチンといった上位チームとの差を縮めるべく、新型フロアや前後サスペンションなど、クルマのパフォーマンスを底上げする新たな開発パーツを投じながらもアルピーヌは今回、今シーズン初めてQ3進出を逃す結果となった。
A523のアップグレードの効果についてガスリーは「正直なところ感じられない」と述べ、検証に割く時間もパフォーマンスを引き出すための作業も出来ていないのため、2日目に向けて取り組むべき課題は「山積み」だと語った。
期待外れの結果に終わった原因についてチーム代表を務めるオトマー・サフナウアーは「エステバンがマイナートラブルを抱え、2台揃って走行時間が不足したために、準備の段階で様々なコンパウンドで十分な量の走り込みができなかった事が今日の我々に大きな影響を与えたと思う」と語った。
「ストリートサーキットで適切なセットアップ変更を行うためには時間と知識の両方が必要だが、今日の我々にはそれがなかった」
無論、2日目に向けて流れを変える事は十分可能だが、悪夢はまだ序盤という可能性もある。
クラッシュによりアップグレードが損傷していてスペアがない場合、旧仕様に載せ替える必要が出てくる。そうなると既にクルマはパルクフェルメ下にあるため、ピットレーンスタートが命じられる事になる。
既に後方スタートが確定しているだけに、パルクフェルメ違反を犯したとしてもその影響は限定的と言えるが、載せ替えたばかりのパワーユニットとギアボックスがダメージを負った可能性もあり、こちらの方が深刻だ。
お先真っ暗感が否めない状況ながらも、今回初めて導入されたフォーマットは気持ち新たに2日目を迎える上では非常に有益だ。
ガスリーは「本当にフラストレーションの溜まる1日だったけど、新しいスプリント・フォーマットのおかげで、少なくとも明日のスプリントに向けては今日を忘れてリフレッシュできる」と付け加えた。
2023年F1アゼルバイジャンGP予選ではシャルル・ルクレール(フェラーリ)がポールポジションを獲得。2番手にマックス・フェルスタッペン、3番手にセルジオ・ペレスと、今年初めてレッドブル勢を退けてみせた。
スプリント・シュートアウトは日本時間4月29日(土)17時30分から、スプリントは同22時30分からバクー市街地コースで開催される。セッションの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。