ルイス・ハミルトン(メルセデス)を追いかけるランド・ノリス(マクラーレン)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースにて
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ノリス、ハミルトンのトラリミ徹底監視「全てのコーナーで実況解説」走路維持の難しさ力説も”同情”せず

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7月2日(日)のF1第10戦オーストリアGPを経てランド・ノリス(マクラーレン)は、前方を走行するルイス・ハミルトン(メルセデス)のトラック・リミット状況について「全てのコーナーで実況解説」していたと振り返った。

トラック・リミット祭りとなったこの日のレースでは、ノリスからの”密告”によりハミルトンが早々に5秒ペナルティを科される展開となったが、7度のF1ワールドチャンピオンがその後も違反を繰り返したため、ノリスは無線を通してアピールし続けた。

アストンマーチンの異議申し立てを経て、レース後に追加の10秒ペナルティがハミルトンに科される前、ノリスは英「Sky Sports」とのインタビューの中で「全てのコーナーで実況解説してたんだ。え?彼(ハミルトン)は5秒ペナルティを受けただけなの? だったらもっと解説し続けるべきだったね!」と笑った。

「1周で4ストライクしていたような感じだったから」

ノリスは本来であれば科されるべきペナルティが科されない状況に「混乱」したとしつつも、尊敬する母国の大先輩に寄り添う素振りを見せた。

「だって、彼にとってはDRSを持つ速いマシンが後ろにいる状況で、全てのコーナーでプッシュしなきゃならなかったわけでさ。彼の気持ちは推し量れないよ」とノリス。

「僅かなスナップ、そしてコーナーを通して変化する風向きによってコース外に出てしまう可能性があるわけで、それによってペナルティを受けるのはちょっと嫌だよね」

感情を制御できなかったとハミルトン

ランド・ノリス(マクラーレン)から逃げるルイス・ハミルトン(メルセデス)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースにてCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ランド・ノリス(マクラーレン)から逃げるルイス・ハミルトン(メルセデス)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースにて

71周のレース中、トラック・リミットの疑いがある事例は1200件以上に及んだ。1周辺り約17件もの調査が必要だった計算で、最終的には84件の違反が確認された。なぜドライバー達はクルマをコースに留めるのにこれほど苦労したのだろうか?

「傍から見ている人たちは文句を言うけど、彼らはコース内に留まるのがどれだけ難しいのか分かってないんだ」とノリスは説明する。

「例えばフェルナンド(アロンソ)が最後の5~10周で僕の後ろにいたなら、少なくとも一度はトラックリミットを越えていただろうし、おそらくペナルティを受けただろうと断言できる」

「プレッシャーを受けているかどうかにもよるね。プレッシャーを受けている時、もう少しばかりプッシュしている時はスライド量が増えるからね」

違反に至るか否かはレース中の立場の違いによるところが大きいとしながらもノリスは、「ヒューマンエラー」である事に変わりはなく「それがレース」であり、ペナルティを受けたドライバーに同情するつもりはないと語った。

「罰せられるべきじゃないと思う部分もあるけど、それがルールである以上は誰もが守らなきゃならないんだ。だから僕はそうしなかったって感じかな」

「苦しんでいるならペースを落とすしかない。でもドライバーである以上、そんなことは絶対にしたくない。そう、複雑なんだ。傍から見るほど単純じゃない」

「でもこれがルールだって断言する以上、ペナルティを受けた人たちに同情したりはしない。ある意味ね」

決勝レースに向けてグリッド上でクルマに乗り込むランド・ノリス(マクラーレン)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースにてCourtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

決勝レースに向けてグリッド上でクルマに乗り込むランド・ノリス(マクラーレン)、2023年7月2日F1オーストリアGP決勝レースにて


7月2日(日)にレッドブル・リンクで行われた2023年F1第10戦オーストリアGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、2位にシャルル・ルクレール(フェラーリ)、3位にセルジオ・ペレス(レッドブル)が続く結果となった。

シルバーストン・サーキットを舞台とする次戦イギリスGPは7月7日のフリー走行1で幕を開ける。

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