アストンマーチンの2021年型F1マシン「AMR21」のノーズ先端に貼られたユニオンジャックとロゴ
Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

アストンマーチンF1、ベッテルへの失格処分控訴へ…あるはずの”1.44リットル”が取り出せないのはポンプ故障のせい?

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アストンマーチンF1チームはセバスチャン・ベッテルに対して失格処分裁定が下された事を受け、F1ハンガリーGPのスチュワードに対して控訴する意向を明らかにした。

スチュワードはこれを受け、アストンマーチンからの正式な控訴通知が受理されるか、あるいはFIA国際控訴裁判所が何らかの決定を下すまで、問題となった5号車AMR21を押収して封印するようFIA技術部門に指示を出した。

2021年8月1日のF1ハンガリーGPで表彰台に上がったエステバン・オコン(アルピーヌ)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)Courtesy Of Alpine Racing

2021年8月1日のF1ハンガリーGPで表彰台に上がったエステバン・オコン(アルピーヌ)、セバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)

ベッテルは大波乱の70周のレースで終始、エステバン・オコン(アルピーヌ)と激しい優勝争いを演じた。及ばず2位フィニッシュしたものの、レース後の車両から規定量の燃料が回収できなかったため失格処分となった。

スチュワードの報告によるとタンクから取り出せたのは0.3リットルに過ぎず「イベント期間中の如何なる時においても、競技者は車両から1リットルの燃料サンプルを抽出できる状態を確保しなければならない」とするF1競技規約第6条6項2への違反が認められた。

FFMやインジェクターモデルによる計算に基づき、アストンマーチンはタンク内には依然として1.44リットルの燃料が残っていると考えており、存在するはずの燃料が取り出せないのはポンプの故障が原因と見ている。

英Autosportが伝えたところによるとチーム代表を務めるオトマー・サフナウアーは「何らかの理由でリフトポンプが燃料を取り出せなかった」として、ポンプの故障が失格処分の引き金になったとの考えを示した。

また、FIAが義務付けてる燃料流量計のデータから計算する事で、タンク内の正確な燃料量が導き出せるとして「1.44リットル」の存在に自信を示しているが、問題はタンクに燃料が残っているか否かではない。

レギュレーションは「抽出できる状態を確保しなければならない」としており、実際にタンク内に規定を満たす量の燃料が残っていようとも、それを物理的に取り出せなければルール違反となってしまう。

なお今回の決定はあくまでも「控訴の意思を表明」したに過ぎず、正式に控訴するためには96時間以内に手続きを開始する必要がある。

ベッテルの失格によりアストンマーティンは18ポイントを失った。これは総獲得ポイントの27%に上る大きな数字であり、これを失うとアルファタウリ・ホンダにコンストラクター・ランキング6位の座を明け渡す事になる。

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