問題多発でリタイヤ続出の船出…それでもホンダ折原GM「アストンから不満を言われたことは一度もない」

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ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎トラックサイド・ゼネラルマネージャー兼チーフ・エンジニアが、オランダの専門メディア『RacingNews365』のインタビューに応じ、初期のトラブルをめぐってアストンマーティンがホンダに不満をぶつけてきたことは一度もないと明かした。

ホンダのワークスパートナーとして迎えた最初のシーズンで、アストンマーティンは信頼性の欠如とパフォーマンス不足に直面。パワーユニット(PU)に起因する振動やバッテリー関連の問題も相まって、グリッド最後方での戦いを強いられてきた。

その結果、開幕11戦を終えてコンストラクターズ選手権では、わずか1ポイントの10位にとどまっている。もっとも、成績不振の責任はホンダだけにあるわけではないが、チーム側が一連の問題をめぐりホンダに不満をぶつけるような場面は一度もなかったという。

アストンに「不満を言われたことは一度もない」

アストンマーティンはプレシーズン・テストで、全チーム中最も少ない走行距離にとどまった。新たな規則に対応するホンダの新型PU「RA626H」にはバッテリーの問題が繰り返し発生。マシンを通じて伝わる振動は、信頼性とドライバーの身体への負担という二つの懸念を生んだ。

フェルナンド・アロンソとランス・ストロールが置かれた状況は、開幕直後にとりわけ深刻だった。チーム代表兼マネージング・テクニカル・パートナーのエイドリアン・ニューウェイは当時、両ドライバーが永続的な神経損傷を負いかねないほどの振動にさらされているとの懸念を示した。

それでも折原TGMは、アストンマーティンから不満を言われたことは一度もないと語る。アストンマーティンのチーフ・トラックサイド・オフィサーを務めるマイク・クラックの存在もあり、両者の関係はシーズン序盤から良好だったという。

「冬季テストでは、ご存じの通り厳しい時期がありました。ただ、トラックサイドではシーズン序盤から、マイクのおかげで、すでに良い関係を築けていました」と折原TGMは語る。

「彼らがホンダに不満をぶつけてきたことは一度もありません。もちろん我々はプロなので、問題の本質と適切な対応策について話し合ってはいますが、彼らは常にホンダを尊重してくれています。ですので、我々の関係は今年初めの段階から良好でした」

クラックもまた、「指を差すのは簡単だ。だが我々は膝を突き合わせて、『これは我々全員の問題だ。一緒に抜け出すために懸命に働く必要がある』と話し合った」と語り、折原TGMと同様の説明をしている。

逆境で深まる関係、アップグレードで反撃へ

ワークス体制1年目のアストンマーティン・ホンダにとって、序盤の逆境は亀裂を生みかねないものだったが、結果として両者の関係は強まったと折原TGMは受け止めている。

「ホンダが英国チームと組むのはこれが初めてではありません。マクラーレンやレッドブルとの長年にわたる協業の経験がありますし、イタリアのチームとも仕事をしてきました」

「英国の組織との協業経験は豊富です。ですので、文化の違いや言葉の壁は問題にならないと考えています」

「そして、我々の関係は……厳しい時期を乗り越えたことで、かなり強固なものになりました。ホンダとアストンマーティンの関係は現在、良好な状態にあると言えるでしょう」

ただし、良好な協業関係とコース上の結果は別の話だ。アストンマーティン・ホンダは開幕11戦で10度のリタイヤを記録。コンストラクターズ選手権では、新規参戦のキャデラックを除き、アストンマーティンの下位に沈むチームはいない。

そんな状況に変化の兆しが表れたのが第11戦ハンガリーGPだった。

アストンマーティンは軽量化や大幅な空力変更を含む今季初の大規模アップグレードを投入した。アロンソは改良後のマシンに明確な改善を感じ、ストロールも長い間で最も手応えのあるアップグレードと評価した。ニューウェイも「前向きな第一歩」と位置づけ、実走でのパフォーマンスがチームの予測と一致したことを評価した。

次に動くのはPU側だ。ホンダはサマーブレイク明けの初戦となる第12戦オランダGPでスペック2を投入する。これは、追加開発・アップグレード機会制度(ADUO)を利用した今季初にして唯一のアップグレードとなる。

この新たな仕様のPUは7月29日(水)、ハンガロリンクで行われたフィルミング・デーで初めてコースを実走した。ザントフォールト・サーキットではホンダのスペック2に加え、シャシー側の第2弾改良も投入される。

アストンマーティン・ホンダとしての苦しい船出は、ホンダの目標を後退させるものではない。折原TGMは現在の成績に満足していないと認めつつも、この苦境そのものがホンダの開発陣を突き動かす原動力になっていると強調する。

「もし我々がトップの競争相手になれれば、それが最良のシナリオです。一方で、大きな課題が存在することは、我々にとって大きなモチベーションになります」

「間違いなく現状には満足してはいませんが、どのようにパフォーマンスを改善していき、トップチームに追いついていくかを考えるという、この状況を我々は楽しんでいます」