HRC、歴代レーシングマシン販売事業を開始。ホンダF1エンジン部品を使ったジュエリーも展開

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ホンダ・レーシングUSA(HRC US)が、ホンダとアキュラの歴代レーシングマシンを一般の愛好家やコレクターに販売する「HRCヘリテージ・レーシング・プログラム(HRC Heritage Racing Program)」を立ち上げた。

このプログラムの特徴は、歴史的なレーシングマシンを販売するにとどまらない点にある。対象車両のレストアから販売、整備、購入後のサーキットでの技術支援までを一貫して手掛ける。

HRCが始める歴代レーシングマシン販売

2010年型HPD ARX-01c「Strakka」のフロント左前方ビューCourtesy Of HRC

2010年型HPD ARX-01c「Strakka」のフロント左前方ビュー

同プログラムを通じてHRCは、当時のホモロゲーション資料や、各プロジェクトに携わった当時のエンジニアによるメモや写真をもとに、マシンを完全に分解。新品および再生パーツを使用して組み直す。安全性を考慮し、一部には最新の素材も使用する。

電子機器も最新技術にアップデートされ、エンジンはカリフォルニア州サンタクラリタにあるHRC US本社でオーバーホールされる。レストア完了後には実走テストを実施し、オーナーがレースに出場する際にはHRCのエンジニアがサポートを提供する。

HRC US社長のデビッド・ソルターズは、メーカー自身がオリジナルの知的財産と技術的な知見を持つことを強みに挙げた。

「クラシックレーシングカーは決して死なない。その神話とオーラが大きくなっていくだけだ。HRC Heritage Racing Programが目指しているのは、素晴らしいホンダとアキュラのレーシングカーに、本来生まれた目的であるレースを続けてもらうことだ。これらの勝利したマシンを作り、オリジナルの知的財産と知識を持つHRCだからこそ、本来の姿へ忠実にレストアし、ヒストリックレースに復帰可能な状態にできるのだ」

第一弾はセブリング制覇のアキュラARX-01a

セブリング12時間レースでLMP2クラス優勝を飾った26号車アキュラARX-01aCourtesy Of HRC

セブリング12時間レースでLMP2クラス優勝を飾った26号車アキュラARX-01a

その第一弾のマシンとして選ばれたのは、2007年のセブリング12時間レースでLMP2クラスを制した26号車アキュラARX-01aだ。アキュラ初の専用設計による耐久レーサーであり、車体とエンジンをHRCの米国部門が初めて設計・開発したマシンでもある。

デビュー戦となった2007年のセブリングでは、ダリオ・フランキッティ、ブライアン・ハータ、トニー・カナーンがステアリングを握った。

4度のインディカー王者であり、インディ500を3度制したフランキッティは、「とにかくドライブするのが楽しい。2007年型アキュラARX-01aは、ドライブする幸運に恵まれた誰にとっても特別なクルマだ。こう言えるクルマは、そう多くはない」と語る。

セブリング12時間レースのLMP2クラス優勝トロフィーを掲げるダリオ・フランキッティ、ブライアン・ハータ、トニー・カナーン、2007年3月17日(土) セブリング12時間レース表彰式Courtesy Of HRC

セブリング12時間レースのLMP2クラス優勝トロフィーを掲げるダリオ・フランキッティ、ブライアン・ハータ、トニー・カナーン、2007年3月17日(土) セブリング12時間レース表彰式

このARX-01aは、8月12〜16日にラグナ・セカ・レースウェイで開催されるモントレー・カー・ウィーク期間中の「The Quail, A Motorsports Gathering」でHRCの展示ブースにて披露される。

ARX-01aのほかに現在入手可能なのは、2009年のアメリカン・ル・マン・シリーズLMP1クラスでドライバーズおよびマニュファクチャラーズ・チャンピオンを獲得したARX-02a「パトロン」と、デビューイヤーにIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で2度のレース優勝を果たした2017年型アキュラNSX GT3だ。

2007年型アキュラARX-01a(26号車)のフロントビューCourtesy Of HRC

2007年型アキュラARX-01a(26号車)のフロントビュー

サーキットを走行する2017年型アキュラNSX GT3(シャシーNo.5)Courtesy Of HRC

サーキットを走行する2017年型アキュラNSX GT3(シャシーNo.5)

ザク・ブラウン所有車もHRCがレストア

現時点では歴代ホンダF1マシンの販売予定は示されていないが、同プログラムはすでに、F1ファンにもなじみ深い人物に関係するマシンのレストアを手掛けている。故ジル・ド・フェランが2001年のCART選手権を制したレイナード01iだ。

この歴史的なマシンを2026年にロジャー・ペンスキーから購入したのがマクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンだった。ブラウンはド・フェランの長年の友人でもあった。

HRCは当時の仕様に適合するホンダエンジンを用意し、エンジン始動を支援したほか、電子部品の点検に携わり、サーキット走行が可能な状態に仕上げた。

2001年のCARTチャンピオンマシン、ジル・ド・フェラン駆るレイナード01iCourtesy Of HRC

2001年のCARTチャンピオンマシン、ジル・ド・フェラン駆るレイナード01i

ド・フェランはホンダとともに、2000年、2001年のCARTで2年連続チャンピオンに輝き、2003年にはインディ500を制した。現役引退後はF1にも活動の場を広げ、2018年にはマクラーレンのスポーティング・ディレクターに就任した。

その後マクラーレンを離れたが、ブラウンとチーム代表アンドレア・ステラの要請を受け、2023年5月にコンサルタントとして復帰。技術陣やドライバーの助言役として同年の復調に関わった。ランド・ノリスは後に、ド・フェランを自身の「メンター」の一人として振り返っている。ド・フェランは2023年12月に死去した。

レストアされたレイナード01iは、モントレー・カー・ウィークでラグナ・セカをデモ走行する予定だ。

歴代F1マシンとエンジン部品を展示販売

モントレー・カー・ウィークでHRCは、F1、インディカー、IMSA、SCCA、バハ、MotoGP、ダカールなどでレースや選手権を制した歴史的な2輪・4輪レーシングマシンを展示する。その中には、1986年のウィリアムズ・ホンダ「FW11」や、2026年のアストンマーティン・ホンダ「AMR26」が含まれる。

さらに、1990年のドイツGPでゲルハルト・ベルガーがドライブしたマクラーレンMP4/5Bの純正エンジン部品を販売する。各部品は、実戦で使用された最後のホンダV10 F1エンジン、RA100Eから取り外されたもので、専用の展示ケースに収められ、HRC発行の真正証明書が付属する。

また、エンジンの小型部品を使用して製作された一点物のジュエリー・コレクションも披露される。このコレクションには、日本有数の宝飾産地である山梨県甲府市の銀細工技術が使われている。

加えて、1965年メキシコGPでホンダにF1初勝利をもたらした伝説的なRA272(シャシーNo.103)のスケールモデルも販売する。1/8と1/18の2種類が用意される。