アンドレッティによるザウバーF1買収交渉決裂との見方大勢、現オーナーの”愛”がネック?
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公式発表はないものの、ザウバー買収を巡るマイケル・アンドレッティとイスレロ・インベストメンツとの交渉が決裂したとの見方がパドックで広がっており、周冠宇がアントニオ・ジョビナッツィに代わりアルファロメオから来季デビューを飾るシナリオが再び現実味を帯び始めた。
買収話が囁かれ始めたのはサマーブレイク明けの8月末の事だった。マイケル・アンドレッティは投資家を集め、アルファロメオの名を冠して参戦中のザウバーの発行済株式80%を取得すべく現オーナーとの交渉を進めてきたものと見られている。
当初、F1アメリカGPの週末に買収完了の発表が行われると噂されたが動きはなく、コルトン・ハータの金曜フリー走行出走についても実現しなかった。米国オープン・ホイールのホープはF1参戦要件であるスーパーライセンスの取得に8点足らず、アンドレッティはフリー走行への参加を通してポイントを稼がせようとしていたとされる。
交渉決裂の理由は現オーナーのザウバーに対する”愛”にあった。
イスレロは株式の売却として3億5千万ユーロ(約462億円)を提示しただけでなく、Auto Motor und Sportによると今後5年間に渡って年間5,000万ドル(約57億円)の保証を前払いするよう求めたという。
F1ファンの大富豪フィン・ラウシングを含む現オーナー陣はザウバーが投機の対象になる事を望んでおらず、新たなオーナーの元でも堅実に運営される事を願っているようで、5,000万ドルの保証は万が一、年間の運営予算が規制で設定されたバジェットキャップに達しない場合に、その穴を埋めるためのものだという。
ウィリアムズが2020年に米国の投資会社、ドリルトン・キャピタルに売却された際の評価額は1億5,200万ユーロ(約200億円)だった。グリッド最後尾を争うチームを手に入れるためにこの倍額を支払い、更には保証を用意しなければならないとするならば、アンドレッティが手を引いたとしても不思議はない。
スイス・ヒンウィルを本拠とするアルファロメオはCOTAでの第17戦を終えて、キミ・ライコネンが6点、アントニオ・ジョビナッツィが1点と、計7ポイントに留まっており、コンストラクターズ選手権で0ポイントのハースの一つ前、9位に甘んじている。
アルファロメオが2022年のバルテリ・ボッタスのチームメイトを決めかねているのは米国投資家達との交渉が原因と見られていた。交渉が破談したとなれば、チャイナマネーを背景に、再びF2ドライバーの周冠宇がリストの最上位に浮かび上がってくる事だろう。