トロロッソ・ホンダ、片肺死んでQ1敗退…抜けないヤス・マリーナで後方スタート / F1アブダビGP《予選》サマリー
初年度最後の公式予選を好結果で締め括るべく、ヤス・マリーナ・サーキットでのグリッド争いでQ3進出を目指したRed Bull Toro Rosso Hondaであったが、2台ともにQ2進出を果たせず、ブレンドン・ハートレーは16番手、ピエール・ガスリーは17番手に終わり、Q1敗退という厳しい結果に終わった。
第21戦アブダビGPは2日目を迎え、24日にプラクティス3と予選が行われた。現地ヤス島は相も変わらず好転に恵まれ、午後2時に開始されたFP3は気温31℃、路面温度も41℃と、これまでよりも暑いコンディションでスタートした。
まずはハイパーソフトタイヤでコースインした2台のSTR13。最初のアタックシミュレーションでハートレーは1分40秒029、ガスリーは1分40秒363をマークした。ガスリー車のパワーユニットには電気系統のトラブルが発生。幸いにも軽微な作業で修復が完了した。
セッション終盤に再びアタックシミュレーションを実施。ハートレーは1分39秒074で12番手、ガスリーは1分39秒740を刻み2回目のランへと向かったものの、そのランの最中にセクター3でロマン・グロージャン(Haas)と接触。マシンを破損しラップを断念。更新叶わず15番手に終わった。後にグロージャンがガレージを訪問。二人は握手で和解した。
午後5時、公式予選は気温29℃、路面温度32℃とクールダウンしたコンディションでスタート。2台は予選Q1開始早々にコースインしアタックを開始した。1セット目のハイパーソフトタイヤでのアタックでガスリーは2回アタックを行い1分38秒166、ハートレーは1回に終わり1分38秒713をマーク。ハートレーはすぐに2セット目の新品タイヤに履き替え、1分38秒127とタイムアップを果たした。
セッション終盤、2台は共にニュータイヤに履き替えセッション最後のアタックを開始。ハートレーは1分37秒994とタイムを更新するも、1000分の60秒という僅差で16番手に終わった。ガスリーは、最初の2つのセクターで自己ベストを繋ぐ好走をみせたものの、最終コーナー目前の所でエンジンパワーを失い失速。パワーユニットのトラブルに見舞われ自己ベストを更新できず、17番手でQ1敗退を喫した。
「最終コーナーでシリンダーが一つ壊れるまではマシンの感触はすごく良かったんだ」とガスリー。ICE=内燃機関のトラブルだった事を明かした。「基本的に全てのエンジンパワーを失ってしまい、スロットルを戻さざるを得なかった。何も出来なかったよ」
「どうすべきかは現時点では分からないけど、使えるエンジンはもう一基ある。でも、いずれにしても僕個人としては、ここで新しいエンジンの封を切ってペナルティを受けるような事は避けた方が良いと思う」
ヤス・マリーナ・サーキットは抜けそうで全く抜けないサーキット。1周あたり2秒速いマシンでもオーバーテイクは困難。2台のトロロッソ・ホンダはグリッド後方からスタートする。アブダビGP決勝レースは11月25日(日)午後5時10分(日本時間午後10時10分)にブラックアウトを迎える。
トロロッソ・ホンダ:F1アブダビGP予選
ピエール・ガスリー予選: 17位, FP3: 15位
トロロッソ・ホンダでの最後の予選がこんな形になるなんて望んじゃいないよ。最終コーナーの出口でパワーを失い、スロットルを戻す事になってしまった。ラップ自体は上手くまとめられてたからガッカリだよ。
マシンの感触は良くて、コンマ6秒速いタイムを刻んでたのに、フィニッシュラインまで後2・300メートルの所でエンジンパワーが失われてしまった。Q3に行けたとは言わないけど12番手位のペースがあったし、トップ10を賭けて戦えるはずだったのに。
明日は僕にとって大事なレースになる。トロロッソ・ホンダは僕にF1での最初のチャンスをくれたチームで、これまでずっと僕のために本当に色んなサポートをしてくれた。だから、力強いパフォーマンスでシーズンを良い形で終えるために、そして皆に感謝の気持ちを伝えるために、全力で挑むつもりだ。
期待してたポジションからスタートする事は出来ないけど、僕は決して諦めたりはしない。
ブレンドン・ハートレー予選: 16位, FP3: 12位
接戦になる事は予想してたけど、今朝のセッションで12番手タイムだったから、少なく見積もってもQ2には進出できるだろうって思ってた。でも蓋を開けてみたら16番手で、2戦連続でQ2を逃してしまい本当に悔しい。
予選では、数時間前と比べてコンディションが大幅に変化してたから、もしかするとマシンから全てを引き出せてなかったのかもしれない。今週末は終始レースペースにフォーカスして作業を進めてきたし、今日もピエールと大きな差はなかった。単純に速さが足りなかったように思うし、マシンバランスにも満足できる状態じゃなかった。プラクティスでの仕事の成果が実って、クルマが明日のレースで力強いパフォーマンスを発揮してくれる事を祈るよ。
田辺 豊治ホンダF1現場責任者
非常に残念なことに、大切なシーズン最終戦の予選Q1でピエールのパワーユニットにトラブルが発生しました。
ブレンドンもQ1敗退となってしまったため、明日は2台ともに後方からのスタートとなります。PUのトラブルについては早急に状況を分析し、決勝レースに向けて準備を進めていくつもりです。
ギヨーム・デゾテウスパフォーマンスエンジニア
ブレンドンのFP3はかなり順調だったけど、反対側のガレージはいささか厄介な状況だった。ピエールは最初のランの際にパワーユニットに電気系統のトラブルを抱えてしまい、バックオフする事を強いられた。幸いにもその問題はすぐに解決できたんだが、その後ターン16の出口でハースのグロージャンがぶつかってきて、最後のアタックラップを諦めなければならなかった。
もちろんもっと良い結果を望んでいたけど、予選も計画通りにはいかなかった。ブレンドンはマシンバランスに苦労し、残念ながら次のラウンドに進めなかった。ピエールの方はまたしてもトラブルに見舞われてしまった。前のラップより0.6秒良いタイムを刻んでいたにも関わらず、最終コーナーでエンジンパワーを失ってしまったんだ。
今日のマシンは10番手か11番手を争えるレベルにあったと思うし、あのトラブルがなければ余裕でQ2に駒を進めていたはずだ。今の段階では何が起こったのかよく分からないから、マシンがガレージに戻り次第、詳しく調査するつもりだ。
決勝レースに関しては、ハイパーソフトタイヤでスタートする連中が(タイヤが長く保たず早々にピットインを強いられるなど)面白い状況を作り出してくれるかもしれないね。前の集団を掻い潜ってポイントを獲得するために、今夜はあらゆる選択肢を検討するつもりだ。