決勝レーススタート前のアルバート・パーク・サーキットのグリッドの様子、2019年F1オーストラリアGP
Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

新型ウイルス:オーストラリア、入国制限拡大…フェラーリ含む4チーム、F1開幕戦欠場の可能性も

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新型コロナウイルスの感染拡大が広がる中、スクーデリア・フェラーリを含むイタリア関係のチームやサプライヤーが開幕戦に参加できない恐れが高まっている。

イタリア政府は29日、新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)患者が1000人を超えたと発表した。27日付の発表と比べて2倍弱に膨れ上がった。すでにセリエAやラグビー欧州6カ国対抗戦シックス・ネーションズの試合が延期に追い込まれるなど、国内のスポーツイベントは混乱に直面している。

影響は国内に留まらない。各国は感染国からの入国を禁止、あるいは行動制限を課す措置を取るなどしており、国外への活動にも支障が出始めている。実際イタリアを拠点とするプレマレーシングは、FIA-F2選手権のテスト開催地、バーレーンにスタッフを派遣しようとしたところ、入国制限のために代替策の検討を余儀なくされた。

現時点でオーストラリアはイタリアからの入国に制限を設けていないが、同国と同じ様に感染が急速に拡大しているイランに対する制限措置が29日に発表され、入国制限が強化された。これが今後、イタリアへと拡大される可能性は否定できない。

このような状況の中、フェラーリのマッティア・ビノット代表は英Autosportとのインタビューの中で、F1および国際自動車連盟(FIA)からの”保証”がない限りは、オーストラリアへスタッフを派遣しない意向を明らかにした。

「我々が必要としているのは、出国前に保証を得ることだ」とマッティア・ビノット代表。

「もしも何らかの医学的検査を受ける可能性があるのであれば、予めそれについて把握する必要があるし、問題が発生した場合にどういう結果になりうるのかを理解しなければならない」

「我々には従業員を守る義務があるし、集団に対しても個人に対しても責任を負っている。重要な事は、(オーストラリアへと)向かう前に、どのようなシナリオが起こりうるのかを明確にすることだ」

更にマッティア・ビノット代表は次のように述べ、フェラーリ製F1パワーユニットを搭載するハースとアルファロメオに加えて、同じくイタリアに本拠を構えるアルファタウリと公式タイヤサプライヤーのピレリも影響を受ける可能性があると指摘した。

「少なくとも、4つのチームとピレリの状況を理解する必要があると言える。最終的に4チームが出走できない場合、レースは行われるのだろうか? 決定権を持っているのは私ではない」

なおアルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表は、ウイルスが原因で出走できないチームが出てしまった場合に、予定通りに開幕戦を行うのは不公平との認識を示している。

一方で、ビクトリア州政府のマーティン・フォーリー大臣は「我々は(現地プロモーターの)グランプリ・コーポレーションをはじめとして、あらゆる国際的なスポーツ機関から日々、世界最高のアドバイスを得ている。現時点では全ての関係者が通常のプロセスを実施すべきだ」と述べ、ウイルスがグランプリにどのような影響を与えるかを判断するには時期尚早だとの考えを示している。

2020年のF1オーストラリアGPは、アルバート・パーク・サーキットを舞台として3月13日に開幕を迎え、15日に決勝レースが行われる予定となっている。

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