2024年FIA-F2マシン公開、女性F1ドライバー推進なるか…インクルーシブ思考の車体設計
FIA-F2選手権は2023年8月31日(木)、F1イタリアGPが行われるモンツァ・サーキットのパドックで2024年からの3シーズンに渡って使用する次世代マシンをお披露目した。まずは今年末までに1台をチームに納入する。
ダラーラ製シャシーに620馬力のメカクローム製3.4リッターV6シングル・ターボエンジンを組み合わせるという点では2018年から続く現行パッケージと変わらないが、「可能な限りF1マシンに近づける」こと、そして接近戦の促進を目的として設計されたノーズや前後ウイング、フロア等のエアロはF1マシンを彷彿とさせるものがある。
2024年は55%がバイオ由来の今季導入のアラムコ製持続可能燃料が使われるが、翌2025年には同社開発の合成燃料に切り替えられ、2027年に100%持続可能な燃料に置き換えられる計画だ。
チタン製F1仕様ヘイローを含む最新のFIA安全規格に準拠するだけでなく、人間工学的観点からコックピットやサスペンションジオメトリを変更するなどして、パワーアシストなしでありながらもステアリング操作を容易にするなど、女性を含む幅広いドライバーに対応し、身体能力の違いが不利に繋がらないような配慮がなされた。
シェイクダウンを担当したのは2019年に初の女性F2ドライバーとなったタチアナ・カルデロンだった。30歳のコロンビア人ドライバーはレラ・ロンバルディ以来となる女性F1ドライバーを目指したものの、ノーポイントに終わりシリーズを離れた。
車体開発についてF2のブルーノ・ミシェルCEOはFIAと共に、マシンが要求するステアリングやブレーキなどパワーに「あらゆるドライバー」が対応できるよう重視したとして、これは性別や人種などの多様性を認め、F2を「よりインクルーシブ」な競技としていくための鍵になると強調した。
例えばコックピットは身長150cm~180cm程度までのドライバーが快適に座れるよう設計されており、F3マシンでの女性ドライバーとのテストを経て判明したステアリングやブレーキの問題、特に女性ドライバーにとって大きな障害となっているブレーキペダルに対するパワー要求が大き過ぎる点について、今後も引き続き検討していく計画だ。
今回採用したステアリングウエイトについては将来的に、F1を頂点とするジュニア・カテゴリーのヒエラルキー全体、つまりF4からフォーミュラ・リージョナル、F3、そしてF2に至る全てで統一していく事を目指すという。