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コストキャップの導入と世界的なF1人気の高まりを背景にF1チームは今、黄金時代を迎えた。米金融経済紙「フォーブス」の推定によれば、F1チームの価値は4年前と比較して約2.8倍に膨れ上がっている。
同紙の調査によると、現行グリッドに着く10チームの中で最も評価額が高いのは、FIA-F1世界選手権創設当時から参戦し続けている唯一のチーム、F1の歴史そのものと言えるスクーデリア・フェラーリだ。
腐っても鯛。2007年以降、タイトルから遠ざかっているとは言え、マラネロを本拠とするイタリアの名門チームの価値は現在39億ドル、日本円にして約5437億円に上ると推定された。
飛ぶ鳥を落とす勢いのレッドブルは26億ドル(約3625億円)で3位と、V6ハイブリッド時代にダブルタイトル7連覇を成し遂げたメルセデスがフェラーリに僅差の2位につける。フェラーリとランキング10位のウィリアムズの価値には約5.4倍の開きがある。
チーム | 推定収益 | 推定企業価値 |
---|---|---|
フェラーリ | 6.8億ドル 948.06億円 |
39億ドル 5437.38億円 |
メルセデス | 7億ドル 975.94億円 |
38億ドル 5297.96億円 |
レッドブル | 5.1億ドル 711.04億円 |
26億ドル 3624.92億円 |
マクラーレン | 4.9億ドル 683.16億円 |
22億ドル 3067.24億円 |
アルピーヌ | 3.25億ドル 453.12億円 |
14億ドル 1951.88億円 |
アストンマーチン | 2.9億ドル 404.39億円 |
13億ドル 1812.46億円 |
アルファタウリ | 2.6億ドル 362.50億円 |
11億ドル 1533.62億円 |
アルファロメオ | 2.1億ドル 292.79億円 |
9億ドル 1254.78億円 |
ハース | 1.8億ドル 250.96億円 |
7.8億ドル 1087.48億円 |
ウィリアムズ | 1.6億ドル 223.07億円 |
7.2億ドル 1003.82億円 |
計 | 38.05億ドル 5304.93億円 |
187億ドル 2兆6071.54億円 |
これらは銀行によるチーム評価額や、業界幹部、アナリスト、銀行家、投資家とのインタビューから得られた公開/非公開情報を集計した上で、2023年の収益予測に基づいて算出された。株式と純負債を合わせた企業価値をチーム価値としており、エンジン販売などの付帯的事業は含まない。
近年のF1では幾つかのチームの株式が売却された。
例えば報道によると2021年にザウバーは、アンドレッティ・オートスポーツに対して発行済み株式の過半数を約3億5,000万ドルの評価額で売却する準備が整っていたとされる。これは最終的に破談となったが、後にアウディに約6億5,000万ドルの評価額で少数株が売却された。
またアルピーヌは今年6月、ハリウッド俳優のライアン・レイノルズやロブ・マクエルヘンニーを含む米国の投資家グループに株式の24%を売却。2億ユーロ(約312億円)を調達した。
2023年のF1全10チームの平均価値は18億8000万ドルで、同紙による2019年の平均5億ドルと比べると276%増という驚異的な伸びを見せている。
背景にあるのは2021年に史上始めて導入された予選制限ルールだ。これにより年間500億円以上が投じられていた時代に終止符が打たれ、チームに収益性という概念が導入された。
またNetflixの人気F1ドキュメンタリー「Drive to Survive」に後押しされ、新たなファン層が開拓された事も収益、チーム価値の向上に大きな影響を及ぼしたと分析している。