革新的「Fダクト」を世に送り出した2010年型マクラーレンMP4-25、ハミルトン優勝車両がF1イギリスGPで競売に
革新的な空力デバイス「Fダクト」を世に送り出した2010年型マクラーレン・メルセデスMP4-25がRMサザビーズ主催のオークションに登場した。
落札予想価格は日本円にして5億5000万円から7億7000万円。オークションはF1史上初開催を迎える第10戦イギリスGPでのスプリント予選レースの直前、7月17日(土)現地17時にシルバーストン・サーキットで行われる。
2.4リッターV型8気筒のメルセデス製「FO108X」エンジンを搭載したマクラーレンMP4-25は、ブロウン・ディフューザー搭載のレッドブルRB6と並び、2010年シーズンの技術的トピックの主役だった。
チーム内で「RW80(RWは”Rear Wing”の略)」と呼ばれていたこの仕組みは、コックピット前方に設けられた吸気口から気流を取り入れ、ダクトを通してリアウイングのフラップ上部に導く事で空気抵抗を減らすものだった。
効果としては可変フラップによるドラッグ・リダクション・システム「DRS」と同じ類のソリューションだ。
装置の起動はドライバー自身が行い、左足のペダルを操作することでF1ダクトが稼働する。ルイス・ハミルトンとジェンソン・バトンはストレートでこれを稼働させ、約6マイル(9.7km/h)のアドバンテージを得ていたとされる。
Fダクトの採用もあってMP4-25は先代のMP4-24を大きく上回る性能を発揮。優勝5回、表彰台16回、ポールポジション1回、ファステストラップ6回を記録してマクラーレンはコンストラクター・ランキング2位に輝いた。
シャシーNo.25A-01のこのモデルは2010年F1トルコGPでハミルトンに優勝をもたらした個体で、今もサーキット走行が可能な状態にあるとの事で、オークションを前に実際にシルバーストン・サーキットでのデモランが行われる予定になっている。