メルセデスF1、早期タイトルの優位活用「残り2戦はテストに使う」5連覇に向けての戦い早くも始まる
最終戦を待たずして2017年のコンストラクターズとドライバーズの両タイトルを手にしたメルセデスAMGは、最終2戦を残したブラジルで早くも5連覇に向けての戦いをスタートさせる。
メルセデス以外のチームがランキング争いを続ける中、チーム代表を務めるトト・ウォルフは、4連覇の偉業を成し遂げたチャンピオンチームにとっては、残されたブラジルとアブダビの両グランプリは来シーズンに向けたテスト走行の場だと語る。
「両方の選手権を制覇した事を考えれば、残りの2戦はプレッシャーなしに挑むのではと思われるかもしれませんが、現実にはそうではありません。我々は、最後の2つの週末は2018年シーズンに向けての最初の2回のテストだと捉えています。来季に向けて貴重な学びがあると判断すれば、決勝レースを含めて最終2戦の金曜日に一連の実験を実施する予定です」
メルセデスは、新しい興味深いコンセプトをラスト2戦の初日金曜日に行う予定だ。これらのコンセプトは実験的でアグレッシブであるが故に、タイトル戦真っ只中のシーズン中には試すことができなかった。通常よりも多くの空力計測装置を使って新しいエアロパーツを評価するとともに、ピットストップに関連する様々なデバイスや新技術のテストを行う。
車体を前傾姿勢にすることによって空気抵抗を抑えつつダウンフォースを稼ぐエアロレーキのようなデバイスは、荷重の面で適切に動作させることが難しく、また金曜日の限られた時間内ではテストしにくい。だが、タイトルが決しているメルセデスにとっては、通常の週末には実施するのが難しいこのようなデバイスについてもテストする事ができる。正に早々にタイトルを決した勝者の果実と言えよう。
© Mercedez AMG / アメリカGPでチームタイトルを決めたメルセデス
いくらテストに集中するとは言え、仮に2戦連続して2台がリタイヤするような事にでもなれば、チームの士気は下がりスタッフは不安に駆られた状態でシーズンを終える事になる。F1がチーム戦であることを考慮すれば、チーム全体の精神状態は極めて重要だ。余裕を見せながらも、チームを率いるウォルフは隙きを見せない。
「冬季テストに良い勢いで挑むためにも、残されたレースでも勝ちにいくつもりです。選手権争いが終わったからと言って手を抜くつもりはありません。むしろ次の2戦では、我々が王者たるその所以を知らしめることになるでしょう」
「やるからには、シルバーストンでの冬のシェイクダウンの最初の1周からアブダビでのシーズン前最終テストの最後の1周まで、その全てで最高の結果を目指しています。いつ何時であっても我々はレースを戦っていますし、勝利のためにレースをしているのです。サンパウロでのレースでもその想いに変わりはありません」
久方ぶりにライバルチームとのタイトル争いが見られた2017年だが、果たして来季はどうなるのだろうか?宿敵フェラーリは上昇曲線を描きつつも、チーム力や信頼性、メンタリティと言った部分で不安を抱える。先行して来シーズンの戦いを開始する王者メルセデスに、今のところ死角は見当たらない。