4番手にとどまった予選を経てパルクフェルメを歩くアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年10月3日(土) F1バーレーンGP(セパン・インターナショナル・サーキット)
Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

0.3秒向上のはずが逆に0.5秒後退? メルセデスを襲った「2つの異変」 アップグレードとセパンの狭間で迷走

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3戦連続で勝利を飾る勢いの中、1周あたり約0.3秒もの大幅な向上を見込んだ大型アップグレードを投入しながらも、メルセデスはセパン・インターナショナル・サーキットで今季「最も厳しい土曜日」を過ごした。

シミュレーション上での改善は確認されているものの、低速コーナーとストレートで想定外の課題が路面した。チームは、改良型W17に対するアップグレードとコース条件、それぞれの影響を見極められず、頭を抱えている。

10月3日(土)に行われた2026年F1第16戦バーレーンGPの予選で、アンドレア・キミ・アントネッリは4番手、ジョージ・ラッセルは8番手に終わった。ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)からは0.501秒遅れた。

作動領域に変化? 低速域と直線でロス

「0.3秒の向上を期待していたのに、実際には0.3秒、0.4秒、あるいは0.5秒後退したように見える。トップ3を逃したのは初めてだ。それもかなり大きな差がついた。奇妙だ」とチーム代表のトト・ウォルフは困惑した様子を見せた。

メルセデスは第11戦ハンガリーGPでも予選トップ3を逃したが、その際の首位との差は0.272秒だった。前戦アゼルバイジャンGPではラッセルが今季最大となる0.837秒差をつけてポールを獲得しただけに、落差は大きい。

ガレージ内でヘッドセットを着用して走行を見守るトト・ウォルフ(メルセデス代表)、2026年10月2日(金) F1バーレーンGPフリー走行(セパン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ガレージ内でヘッドセットを着用して走行を見守るトト・ウォルフ(メルセデス代表)、2026年10月2日(金) F1バーレーンGPフリー走行(セパン・インターナショナル・サーキット)

ウォルフによると、金曜日には今季それまで経験していなかったマシンの不可解な挙動への対応を迫られた。フリー走行3回目(FP3)では、特にアントネッリ側で改善が進んだように見えたものの、予選では再びパフォーマンス不足に陥ったという。

「ドラッグ(空気抵抗)がかなり大きいように見える。特にマックス(フェルスタッペン)に対して、ストレートでこれほど多くのタイムを失うのは初めてだ」とウォルフは説明した。

「低速では、ターン2でクルマの向きを変えることができない。アンダーステアが強すぎる。全体として、今年これまで見られなかったことが起きている」

実際、アントネッリは予選で、低速のターン1~2だけでフェルスタッペンに約0.3秒を失った。さらにバックストレートでも約0.2秒の遅れを取り、これまで強みとしてきたストレートでの強みも影を潜めていた。

アントネッリは、新たなパッケージによってマシンが性能を発揮する作動領域が変わった可能性があると説明する。

「どの領域でクルマが一番良いパフォーマンスを発揮するのか、理解しようとしている。今週末は高速コーナーでかなり速いけど、低速で足りていない」

アプデかコース特性か、原因切り分けできず

アップグレードが期待どおりに機能していないのか。それとも、劣化した路面や回り込む低速コーナーなど、セパン特有のコース特性がアップグレードの効果を覆い隠しているのか。ラッセルは「そこが大きな疑問なんだ」と語った。

「直接比較できればいいんだけど、そうはいかないのがこのスポーツの難しいところなんだ。先週のバクーでこのアップグレードを投入していたら、仮に悪化していたとしても、たぶんポールを獲って『素晴らしい』と言っていただろうね」

「同じように、ここで以前のクルマを走らせていたら、遥かに悪い結果になっていたかもしれない」

インタビューに応じる予選8番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年10月3日(土) F1バーレーンGP(セパン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

インタビューに応じる予選8番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)、2026年10月3日(土) F1バーレーンGP(セパン・インターナショナル・サーキット)

もっともチームは当初から、セパンではバクーほどW17の特性が有利に働かないと予想していた。アントネッリは、今季はセパンと同じように表面のきめが粗いサーキットで苦戦してきたと説明したうえで、今週末のうちに原因を理解することは難しいとの見方を示した。

「路面のせいなのか、暑さのせいなのか。それとも、新たなパッケージについて何か見落としているのか。本当に判断が難しい。シンガポールでは、このパッケージをもっと正確に評価できると思うんだけどね」

一方、ラッセルは、高い気温と荒い路面というセパンの特性について、他のチーム以上に「自分たちの方がはるかに大きな影響を受けているように見える」とも指摘した。

結局のところ、苦戦の原因を単一の要因に求められることはほとんどない。ウォルフは、「考慮すべき要素は数多い。現時点では何も除外できない」と語った。

アントネッリ、繰り上げ3番手も「レッドブル有利」

今回の予選結果には、Q2でのトラックリミットの影響もあった。アントネッリはターン6でコース外にはみ出したことで新品ソフトを1セット余計に費やすこととなり、Q3で使用できるタイヤが1セットに限られた。

「アンダーステアでコースを外れてしまったんだ。問題なく予選をまとめることができていれば、たぶん2番手か3番手だったと思う。ポールじゃない。今日はマックスが少し速すぎた」とアントネッリは振り返った。

ガレージ内でW17のコックピットに乗り込み予選走行に備えるアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年10月3日(土) F1バーレーンGP(セパン・インターナショナル・サーキット)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ガレージ内でW17のコックピットに乗り込み予選走行に備えるアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、2026年10月3日(土) F1バーレーンGP(セパン・インターナショナル・サーキット)

予選3番手のアイザック・ハジャー(レッドブル)が今季7基目となる内燃エンジン(ICE)の投入により5グリッド降格を受けるため、アントネッリは決勝でハジャーに代わって3番グリッドに着く見通しだ。

アントネッリは、路面がクリーンな奇数列からのスタートを歓迎しつつも、「ペースではレッドブルがまだ優位にある」と指摘。また、自身の前後を囲むフェラーリ勢も手強いとして、厳しい戦いになるとの見方を示した。

「コース上のポジションが本当に重要になると思う。できる限りうまくタイヤをマネジメントしたい。勝利を争えるなら嬉しいけど、2位か3位で満足しなきゃならないなら、それを受け入れる」


2026年F1バーレーンGP予選では、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季初のポールポジションを獲得。2番手はルイス・ハミルトン(フェラーリ)、3番手はアイザック・ハジャー(レッドブル)という結果となった。

決勝レースは日本時間10月4日(日)16時にフォーメーションラップが開始され、1周5543mのマレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットを56周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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