
キャデラックF1、参戦わずか半年で代表ロードンを電撃解任
F1参戦初年度を戦うキャデラックは米国時間2026年8月12日(水)、シーズン後半戦を前にチーム代表の交代を発表した。参戦の準備段階から組織を率いてきたグレアム・ロードンが電撃解任され、ルノー/アルピーヌ、国際自動車連盟(FIA)で要職を歴任したマルチン・ブドコフスキーが後任に就く。
参戦からわずか半年という異例のタイミングでの人事発表を経て、49歳のポーランド人エンジニアは即日、業務を開始した。初のレース週末は、サマーブレイク明けの第12戦オランダGPの週末となる。
立ち上げ主導のロードン、CEOが解任決断
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キャデラックF1チームのチーム代表を務めるグレアム・ロードン、2025年
ロードンはかつてのマノーF1チームでトップを務めた人物で、初期の段階からキャデラックのF1プロジェクトに関わってきた。2024年12月にチーム代表に就任し、白紙の状態からチームを築き上げた。
人材登用、組織づくり、インフラ整備、マシン開発、そしてセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスというドライバーの起用に至るまで、その立ち上げを主導した。新規参戦チームの組織づくりについてロードンは、人類を月に送ることになぞらえたこともある。
そんな立役者は、自らの意思ではなくチームにより突如解任された。CEOを務めるダン・トウリスは、今回の人事は自らの決断だったと説明した。トウリスによれば、ロードンにこの決定が伝えられたのは、発表当日の朝のことだった。
トウリスは、ロードンへの謝意を表した。
「グレアム・ロードンのリーダーシップと、キャデラックF1チームをゼロから形作るうえで果たした役割に感謝している。彼の貢献によって、立ち上げ段階で強固な基盤を築くことができた。その尽力に感謝するとともに、今後の活躍を願っている」
電撃交代の背景に頻発する技術トラブル
キャデラックは11戦を終えて、まだ1ポイントも獲得できていない。だが、新規参戦チームであることを踏まえれば、そのこと自体は概ねチーム経営陣の想定内だったと言えるだろう。
むしろ問題は、リタイヤの多さにある。
ペレスとボッタスは、開幕からの11戦で計9回のリタイヤを喫している。さらに、信頼性に関わる問題はシーズンが進むにつれて悪化した。直近7戦で両車がそろってチェッカーフラッグを受けたのは、わずか1回。とりわけ、ブレーキのオーバーヒートによるトラブルが繰り返し起きていた。
今回の交代についてチームは、組織が次のステップに進むための計画された移行だと位置づけているが、こうした繰り返される技術的なトラブルに経営陣が失望していた可能性は否めない。
技術畑のブドコフスキーで組織強化へ
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キャデラックF1の新チーム代表に就任したマルチン・ブドコフスキー、2026年8月12日
後任のブドコフスキーは、F1で20年以上のキャリアを誇るベテラン技術者だ。2001年にプロストでキャリアを始め、フェラーリとマクラーレンを渡り歩いた後、2014年に統括団体であるFIAに移り、技術部門のトップに就任した。
ブドコフスキーの名前が一躍、脚光を浴びたのは2017年のことだった。
FIAにおいてマシン開発を含む全チームの機密情報を知りうる立場であったブドコフスキーが、エグゼクティブ・テクニカルディレクターとしてルノーF1チームに加わることに、ライバルチームが猛反発するのはごく自然なことだった。
ブドコフスキーは、アルピーヌと名を変えた後もエンストンのチームに留まったが、度重なる首脳陣刷新という争乱のなか、2022年1月に同チームを去った。それ以降はポーランドのテレビでF1解説者を務めていた。ガーデニング休暇を消化する必要なく即座に着任できたのは、こうした状況にあったためだ。
ブドコフスキーの起用についてトウリスは、キャデラックの継続的な進化におけるもう一つの重要な一歩だと表現した。
「我々の目標は当初から、単にF1に参加することではなく、最前線で戦える次世代のチームを築くことだった。この新たな時代を迎えるにあたり、マルチンは卓越したF1の経験、技術的な専門知識、そして戦略的なリーダーシップをもたらしてくれるだろう。それは、我々の組織を強化し、長期的な成功に必要な勝者のメンタリティ、ツール、そしてプロセスを育てる助けとなる」