
人生を見極める時——。フェルスタッペン、新規則で揺れるF1継続…鈴鹿で漏らした本音
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)が、自身のF1での将来について、これまでより踏み込んだ形で言及した。2026年F1第3戦日本GP予選でQ2敗退を喫した後、競争力回復への期待を示しながらも、個人として「見極めなきゃならないことがある」と語った。
以前から憶測は堪えなかったが、本人がシリアスに、自らの判断事項として去就をにじませたのは今回が初めてと言っていいだろう。
「人生。そう、ここでの人生だ」
姉妹チームの新人アーヴィッド・リンブラッド(レーシング・ブルズ)にQ3進出を阻まれた鈴鹿での予選後、フェルスタッペンは競争力改善の見通しを問われ、今後数週間から数ヶ月で幾らか改善できるだろうとした上で、こう続けた。
「それ以外のことは、みんなもう分かっているよね。僕がいろいろなことをどう考えているか、改めて言う必要はないと思う。僕には個人的にも、いろいろ見極めなきゃならないことがある」
それは具体的に何を指すのかと問われると、「人生。そう、ここでの人生だ」と答えた。
一時的な苛立ちではなく、現行のF1を続けることの意味そのものを見つめ直している事をうかがわせる発言だった。
もっとも、フェルスタッペンはそれを怒りや失望として語ったわけではない。鈴鹿という、彼自身が長年愛してきたサーキットで今の規則のマシンを走らせることへの感情を問われると、もはやフラストレーションを感じる段階はとうに過ぎたと明かした。
規則が奪ったドライビングプレジャー
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ピットレーン出口からコースへ合流するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2026年3月28日(土) F1日本GP予選(鈴鹿サーキット)
フェルスタッペンが反発しているのは、2026年のパワーユニット規則がもたらしたドライビングスタイルの変容だ。電動パワーと内燃エンジンの出力配分がほぼ半々となり、エネルギーマネジメントの比重が増した結果、特に予選では、コーナーを限界まで攻めるという従来のアプローチが損なわれている。
バッテリーの回生と電力展開の最大化が優先されるあまり、本能に従ってコーナーで攻めることができない……それがフェルスタッペンにとっての問題の本質だ。
この問題は、世界屈指のドライバーズサーキットとして多くのドライバーに愛されてきた鈴鹿でこそ、一層際立つ。
エネルギーマネジメントのためにコーナリング速度が低下し、鈴鹿が本来持つ挑戦性が損なわれているとの懸念は、F1王者のフェルナンド・アロンソやランド・ノリス、カルロス・サインツやオリバー・ベアマン、そしてシャルル・ルクレールなど多くのドライバーから上がっている。
F1での将来を左右する2つの要素
フェルスタッペンのF1に対する情熱の変化を、レッドブルの競争力の低下だけで説明することはできない。首脳体制を刷新して迎えた初のシーズン、チームは中団争いに揉まれるほど苦戦している。
フェルスタッペンは競争力も判断材料の一つだと認める一方、それだけが理由ではないと強調する。
世界中を転戦し自宅を長期間離れなければならないF1において、彼にとっては「楽しくなければならない」という前提があり、現状ではその条件が満たされていないという。
4年連続でF1を制した28歳のオランダ人ドライバーは今、F1の外に喜びを見出し始めている。
昨年5月には娘が生まれ父親となり、今年はニュルブルクリンク24時間レースへの初参戦に向けた準備を進める。シムレース活動の運営にも力を入れており、そうした取り組みが「大きな笑顔」をもたらしてくれるという。今季のF1について、そのような言葉は聞かれない。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
モニターを前にデータを確認しながらジャンピエロ・ランビアーゼと会話するマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2026年3月28日(土) F1日本GP予選(鈴鹿サーキット)
父ヨスの懸念と2027年の行方
この状況を外側から見つめてきた父ヨス・フェルスタッペンは、日本GPの週末を前にオランダ紙『De Telegraaf』に懸念を語っていた。
「慣れの問題にすぎないと言う人もいる。だが、マックスがこの状況を楽しめているとは思えない。もちろん彼はいつだってベストを尽くそうとしているし、競争力の改善に向けてレッドブルとあらゆることに取り組んでいるが、それは別の話だ」
「こういうマシンでレースをしても、彼にとっては挑戦にならない。正直、マックスがモチベーションを失うのではないかと心配している」
「F1マシンを走らせることは、彼にとって最高の喜びだった。だが私は今、かなり悲観的に見ている。そうでないことを願うが、これは彼の将来にとって問題になっていくだろうと思っている」
フェルスタッペン自身の決断は、F1が2027年に向けて現行ルールをどう変更するかに左右される可能性がある。FIAも問題を認識しており、マイアミGPまでに一定の調整が実施される見通しだが、抜本的な変更ではなく修正の範囲内に収まるとみられている。
「僕がとにかく願っているのは、来年に向けて十分な調整がおこなわれることだ」とフェルスタッペンは語った。今年の小幅な修正だけでは、彼が求めるものには届かない。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
ガレージ前に止まるマックス・フェルスタッペンのRB22を囲み作業するクルー、2026年3月28日(土) F1日本GP予選(鈴鹿サーキット)