
さようなら「MOMとX/Zモード」―FIA、2026年のF1新用語をファン向けに簡素化
2026年、F1は史上最大級の変革期を迎える。パワーユニットとシャシーの全面刷新に伴い、2011年から導入されてきた追い抜き支援システム「DRS(ドラッグ・リダクション・システム)」がついにその役目を終える。
これに代わる新システムの導入にあたり、国際自動車連盟(FIA)は当初検討していた複雑な用語を大幅に見直し、ファンにとって直感的に理解しやすい名称へと統一することを決定した。
揶揄された「MOM」は廃止。シンプルさを追求
2026年型マシンには、ストレートで前後のウイング角を変更する「アクティブ・エアロダイナミクス」が導入される。また、前走車とのギャップが既定値以内の際には、ハイブリッドシステムを一時的に解放してパワーを上乗せする新たな追い抜き支援システムも導入される。
昨年の6月に2026年のレギュレーションが初めて発表された際、FIAはこれらの機能を「Xモード(低ドラッグ)」「Zモード(高ダウンフォース)」、そしてパワーブーストを「マニュアル・オーバーライド・モード」と呼称していた。
だが、特に「マニュアル・オーバーライド・モード=MOM」は、略称の語感(お母さんモード)も相まってファンの間で混乱や揶揄の対象となり、名称を「ストレートライン・モード(SLM)」などに改める案も浮上したものの、いずれも正式採用には至らなかった。
FIAのシングルシーター部門責任者を務めるニコラス・トンバジス(FIA)は、「ファンが何が起きているのかを明確に理解できるようにしたい。チームの無線、実況、そしてレギュレーションのすべてで統一されたシンプルな言葉を使いたい」と、用語再検討の理由を明かした。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
マイクを握る国際自動車連盟(FIA)シングルシーター部門責任者のニコラス・トンバジス、2025年11月20日(木) F1ラスベガスGPフリー走行(ラスベガス市街地コース)
DRS後継は「オーバーテイク」
新規ファンからコア層までを含む「ファン・フォーカス・グループ」による検証を経て決定した新用語は、極めてシンプルだ。これまで「MOM」と呼ばれていた追い抜き支援機能は、今後「オーバーテイク(Overtake)」へと正式に改称された。
また、「Xモード」「Zモード」といった区分名も姿を消した。今後は「ストレートモード(Straight Mode)」と「コーナーモード(Corner Mode)」に統一される。
ストレートモードは、DRSとは異なり前走車両とのタイム差に関係なく、一定以上の長さを持つ直線区間で前後ウイングのフラップを開き、空気抵抗を低減して最高速を高める。コーナーモードではウイングが高ダウンフォース状態に戻り、コーナリング性能が最大化される。