
ベン・スレイエム再選確実も「選挙無効」のシナリオ浮上―仏裁判所、本案審理へ
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)の次期会長選挙を巡る法廷闘争で、フランスの裁判所は選挙の実施を認める判断を示した。だが、これは現職モハメド・ベン・スレイエムにとって“完全勝利”ではない。裁判所が選挙システムの不正疑惑について、年明けに本格的な審理を行う方針を決めたためだ。
今回の混乱は、立候補を目指したローラ・ヴィラースが選出プロセスの不公平を訴え、パリ司法裁判所に緊急差し止めを申し立てたことで表面化した。
Courtesy Of laura_villars@Instagram
女性初の国際自動車連盟(FIA)会長に向けて立候補を表明したローラ・ヴィラース
ヴィラース側は、現行の仕組みではベン・スレイエム以外が必要な“閣僚名簿”を揃えることが事実上不可能だと主張している。候補者は、世界6地域(アフリカ・アジア・ヨーロッパ・中東・北米・南米)それぞれから「スポーツ担当副会長」候補を指名しなければならず、その候補者は世界モータースポーツ評議会(WMSC)の適格者リストから選ぶ必要がある。
南米地域のリストにはF1のかつての最高責任者バーニー・エクレストンの妻であるファビアナ・エクレストンただ一人が名を連ねるのみで、しかも彼女はベン・スレイエム陣営に属する。ヴィラール、ティム・メイヤー、ヴィルジニー・フィリポの三名は申請が受理されず、候補者として認められたのはベン・スレイエムただ一人だった。
判決は「実施容認」も「お墨付き」にあらず
12月3日の緊急審理でマリク・シャピュイ判事は、12日に予定される選挙を差し止める理由はないと判断した。これによりウズベキスタンで開かれるFIA総会での投票は予定通り行われることとなり、ベン・スレイエムの再選は確実な情勢となった。
一方でシャピュイ判事は、本件が「緊急審理で求められる明白性の基準を満たしていない」と指摘し、より詳細な審理が必要との見解を示した。
ヴィラース側の代理人を務めるロビン・ビンサード弁護士は「緊急審理の判事は、この争点を本案として扱うべきと判断した。我々はFIAに対し、本案審理を担当する裁判官のもとで訴訟を続けていく」とコメントした。
選挙自体は実施されるものの、その正当性を問う本案審理はこれからだ。次回の審理は2026年2月16日に設定された。審理では選挙プロセスの実態が精査され、訴えが認められれば結果の見直しや無効・取り消しに発展する可能性もある。
一方、FIAは声明を通して、選挙の実施が認められたことに歓迎の意を示した。
今回の裁判所判断によりFIAは、法的な“保留”がついた形で新体制──実質的には現体制の継続──を発足させることになりそうだ。