
角田裕毅の”ローソン故意妨害”発言に波紋「神経がかなり張り詰めている」二人の識者が見解
「ローソンに関しては、いつものことです。毎回、わざと何かをやる——それが彼なんです」
2025年F1第19戦アメリカGP予選後、角田裕毅(レッドブル)は来季シート争いのライバル、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)を名指しで批判した。Q2で13番手に終わった角田は、ローソンが自身の走行を意図的に妨害したと主張し、放送禁止用語を交えて非難した。
だが、ルノーの元F1ドライバーでF1公式アナリストのジョリオン・パーマーは、この主張に対して「意図的にやっているとは思わない」と反論。その一方で、「F1での自身の将来が指の間からこぼれ落ちようとしているのを感じているのだと思う」と、角田の心理状態に理解を示した。
パーマーが見る“角田の焦燥”
事の発端は、予選Q2での出来事だ。角田は最初のアタックラップでスロー走行中のローソンに遭遇。ダーティエアーに巻き込まれた角田は即座に無線で「わざと邪魔をした」と訴えた。一方、批判されたローソンは「何を言ってるのかさっぱり分からない」と一蹴している。
角田の主張に対し、パーマーは慎重な見解を示した。
「今日のユーキは動揺していたように思う。ターン11ではローソンが前にいて、そのダーティーエアーに苛立っているようだった。その後もアルピーヌのマシンがギリギリで道を譲る場面があった。あれはタイトだった」
パーマーはさらに、角田の心理面に踏み込んで分析した。
「ドライバーは1周、1周を完璧に仕上げたいと思うものだ。でも今の彼は神経がかなり張り詰めていると思う。なぜなら、F1での自身の将来が指の間からこぼれ落ちようとしているのを感じているからだ。僕はそう思う」と指摘する。
ヘルムート・マルコは次戦メキシコGP後に来季のドライバーラインナップを決定すると繰り返している。角田とローソン、どちらが2026年のシートを掴むのか——その判断は、残り1戦半の結果に委ねられている。
スプリント予選ではチームの判断ミスで18番手。公式予選ではトラフィックに翻弄され、Q3進出を逃したと角田は感じている。だが、感情的な非難が角田にとってプラスになるとは限らない。
レッドブルが求める資質の一つは、冷静な判断力とプロフェッショナリズムだ。ローソンへの非難は、角田自身の立場を危うくするリスクも伴っている。そして、そのことを誰より理解しているのも、角田自身だ。
ヒンチクリフ「わざと妨害するリスクは大きすぎる」
6度のインディカー優勝経験を誇り、F1公式アナリストを務めるジェームズ・ヒンチクリフも、角田の主張に懐疑的だ。
「正直、僕にはそうは思えない。ドライバーは必ずしも、後ろから誰が迫っているかを把握しているわけではないしね。たいていの場合、エンジニアから『後方にアタックラップ中のマシンがいる、気をつけろ』って警告が入る」
ヒンチクリフが指摘するのは、トラフィックマネジメントの難しさだ。スロー走行中のドライバーは、後方からアタックラップ中のマシンが接近していることをチームからの無線で知る。だが、その情報が遅れたり、ドライバーが適切に対応できなかったりすることは珍しくない。
「しかも、他車のアタックを妨害すればペナルティを受ける可能性がある。わざとそんな危険を冒して他人のラップを邪魔するなんて、リスクが大きすぎる。確信は持てないけどね」とヒンチクリフは続ける。
「もちろん、ユーキが苛立つのは理解できる。この二人は本当によくコース上で遭遇するからね。プラクティスでも、予選でも、レースでも。ただ、それが意図的かといえば、そうではないと思う」
予選中の妨害行為には最大で10グリッド以上の降格ペナルティが科される可能性がある。
真相がどうであれ、今回の一件はレッドブル内部に漂う緊張を改めて浮き彫りにした。アメリカGPの決勝、そしてメキシコGP——残された2戦で、この対立はどう展開するのだろうか。