
角田ペナルティ裁定「ペナポ2点 + 10秒ペナ」の背景と理由、オーストリアでコラピントと接触
2025年F1第11戦オーストリアGPにおいて角田裕毅(レッドブル)は、フランコ・コラピント(アルピーヌ)と接触し、スチュワードから10秒ペナルティおよびペナルティポイント2点を科された。直近12ヶ月間の累積ポイントはこれで4点に達した。
インシデントはターン4への進入時に発生した。角田はコラピントのイン側に飛び込んだが、立ち上がりで左フロントタイヤがコラピントの右リアに接触。角田はそのまま走行を続けたものの、コラピントはスピンを喫し、後退を余儀なくされた。
Yuki Tsunoda and Franco Colapinto collided at Turn 4 😱
Both drivers continued onwards to the finish #F1 #AustrianGP pic.twitter.com/IiZdTQC7ah
— Formula 1 (@F1) June 30, 2025
一見すると、レース中によく見られる接触に思えるが、なぜ角田が罰せられることになったのか? そしてなぜ「10秒ペナルティ」「ペナルティポイント2点」という処分が下されたのか?
判断根拠は標準ガイドライン
答えは、「F1ドライビング標準ガイドライン」にあった。デレク・ワーウィックを含む4名のスチュワードは、このガイドラインに則り、接触の「全責任」は角田にあると結論付けたのだ。
ガイドラインの「A:コーナー内側からのオーバーテイク」条項によれば、角田がコーナーの優先権を得るためには、「エイペックスの手前およびエイペックス時点で、自車のフロントアクスルが、少なくとも相手車両のミラーと並ぶ位置に到達している」必要があった。
だが、スチュワードの見解では、角田はこの条件を満たしておらず、したがって優先権はなかったとされ、接触の「全責任」を負うべきとの裁定が下された。
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F1ドライビング標準ガイドラインバージョン4.1
“結果”ではなく“行為”が裁定の基準に
なお、裁定に際しては、当該インシデントによって生じた結果は考慮されない。すなわち、コラピントがスピンしたか否かにかかわらず、ダメージを負ったか否かにかかわらず、スチュワードは当該インシデントの本質のみをもって裁定を下すことが求められている。
したがって、たとえばマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)との間で1周目に発生したクラッシュのケースと本件を、「スピン」と「クラッシュ」といった“結果”に着目して比較し、科されたペナルティの内容を論じることに意味がない。
ただし一方で、スチュワードによる処分決定の際には、「即時かつ明白な競技上の損失」があったかどうかがペナルティの重さに影響を与えるとされており、その点においては一種の矛盾が存在するとも言える。
ペナルティポイント2点加算
本ケースのような接触事故に関しては、10秒ペナルティ+ペナルティポイント3点が標準的な処分とされている。より重い責任が認められた場合には、ドライブスルーペナルティや10秒ストップ&ゴーペナルティといった、さらに厳しい制裁が科される可能性もある。
しかしながら、角田に実際に科されたのは10秒ペナルティとペナルティポイント2点。ペナルティポイントに関しては、標準より軽い処分となった形だ。ただし近年の傾向として、同様の事例においては2点にとどまるケースが多いことも補足しておきたい。