
ホーナー、角田裕毅の「勇敢な走り」を評価―クラッシュからの奇跡の復活
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPで角田裕毅(レッドブル)は、予選での大クラッシュを乗り越え、ピットレーンスタートながら見事10位入賞を果たした。この驚異的な復活劇に、レッドブルのチーム代表クリスチャン・ホーナーは、高速セクションでの「勇敢な走り」が実を結んだと評価した。
壊滅的クラッシュからの再生
角田は前日の予選Q1で激しいクラッシュを喫し、タイムを記録できずに最下位に沈んだ。マシンは全面的に損傷し、モノコックの交換が必要なほどの壊滅的な状態に。チームのメカニック陣は懸命の作業を続け、レースに向けてクルマを新しく作り上げた。この献身的な努力が、後の奇跡を生む土台となった。
戦略的レース展開と運の巡り合わせ
パルクフェルメ下でのモノコックの交換と新たなパワーユニットの開封により、角田はペナルティでピットレーンからスタート。それでも諦めることなく粘り強くレースを進め、中盤に訪れたバーチャル・セーフティーカー(VSC)を活かし、順位を大きく上げることに成功。最終的に10位でフィニッシュし、貴重な1ポイントを獲得した。
「今日のユーキは本当に素晴らしいレースをしたと思う。ピットレーンからスタートしてポイントを持ち帰るのは決して簡単なことではない。戦略もうまく機能した」とホーナーは振り返った。
さらに「冷静かつ的確な判断でレースを進めていたし、クルマを修復したメカニックたちにとっても良い恩返しになったと思う」と称賛の言葉を贈った。
勝負を決めた「勇敢な走り」
Courtesy Of Red Bull Content Pool
イモラ・サーキットでアストンマーチンAMR25を駆るフェルナンド・アロンソの前を走行する角田裕毅(レッドブル・レーシングRB21)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝
レース終盤の見どころは、角田がニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)に仕掛けた勝負強いオーバーテイク。これによりポイント圏内に浮上した角田は、そこからチェッカーフラッグまで、後方から猛然と迫るベテラン、フェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)の激しい追撃を冷静に退けきった。
「いくつかの高速コーナーでは、非常に勇敢な走りをしていた。そして、ニコに対してイン側から仕掛けて、ポイント圏内に入る決定的なオーバーテイクを決めてみせた」とホーナーは評価した。
今回の結果は、大クラッシュからの復活、チーム全体の懸命な努力、そして角田自身の精神的タフネスが見事に結実した証といえるだろう。
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾った。2位はランド・ノリス、3位はオスカー・ピアストリとマクラーレン勢がこれに続いた。
モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは5月23日のフリー走行1で幕を開ける。