
角田裕毅「あまり眠れなかった」予選事故からの復活劇、”償いの走り”でピットから10位入賞
2025年5月18日に開催されたF1第7戦エミリア・ロマーニャGP決勝で、レッドブル・レーシングの角田裕毅はピットレーンスタートから10位入賞を果たし、貴重な1ポイントを獲得した。前日の予選Q1での横転クラッシュから一夜、マシン修復に奔走したメカニックたちへの感謝と、自身の過ちへの償いを胸に、粘り強い走りを見せた。
予選クラッシュからの再起
17日の予選Q1で、角田はヴィルヌーヴ・シケイン(ターン6)で縁石に乗り上げ、高速のままウォールに激突。その衝撃でマシンは宙を舞った。幸いにも無傷でマシンから脱出したが、RB21は大破。パルクフェルメ下でパワーユニット一式を交換したことで、決勝はピットレーンからのスタートとなった。
チェッカーフラッグ後、レースエンジニアから健闘を称えられると角田は「メカニック全員に感謝してる。クルマを直してくれてありがとう」とチームに感謝の気持を伝えた。また、「少なくともチームに幾らか恩を返すことができたので満足しています。特に、昨晩はメカニックに膨大な作業を強いてしまったので」と語り、チームへの思いを強調した。
さらに「予選のことが本当に悔しくて、昨日はあまり眠れませんでした。でも、前を向かないといけませんし、仕方ないですね」とも胸の内を明かし、「少なくとも、チームに何かを返せたことは良かったと思っています」と付け加えた。
レース展開と戦略
決勝では、クリーンエア下ではペースを発揮するも、他車を容易に追い抜けるほどの速さはなかった。中盤には、後方のオスカー・ピアストリ(マクラーレン)を抑えて、レースをリードする僚友マックス・フェルスタッペンをサポートするよう指示を受けたが、新品ハードタイヤを履くピアストリに早々と追い抜かれる場面もあった。
それでも粘り強くレースを戦い、バーチャル・セーフティーカー(VSC)の導入により14番手まで順位を上げると、終盤のセーフティーカー(SC)リスタート時には、アウト側に膨らんで失速したニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)をオーバーテイクしてポイント圏内に浮上。最終的に10位でフィニッシュし、1ポイントを獲得した。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
マクラーレンMCL39を駆るオスカー・ピアストリの前を走行する角田裕毅(レッドブル・レーシングRB21)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP決勝(イモラ・サーキット)
自己分析と今後への意気込み
レース後のインタビューで、角田は予選でのクラッシュについて「正直なところ、1ラップのペース自体は悪くなかったんです。特にFP2ではマックスにかなり近いタイムを出せていましたし。FP3ではあまり周回のチャンスがなかったので、そのまま予選に入っていったんですが、自分の中ではそれなりに自信を持っていました」と振り返った。
さらに、「でも、たぶん自分自身に期待しすぎて、Q1の最初のラップで『ヒーローになろう』としすぎてしまったんです。それが本当に余計なことでした」と自己分析し、「なので、そういうところを一度立ち止まって、ちゃんと考え直して、次はもっと良いパフォーマンスを出せるようにしたいと思います」と今後への意気込みを語った。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
決勝前にパドックを移動する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP(イモラ・サーキット)
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決勝前のドライバーズパレードで言葉を交わすルイス・ハミルトン(フェラーリ)と角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月18日(日) F1エミリア・ロマーニャGP(イモラ・サーキット)
2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPでは、2番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾った。2位はランド・ノリス、3位はオスカー・ピアストリとマクラーレン勢がこれに続いた。
モンテカルロ市街地コースを舞台とする次戦モナコGPは5月23日のフリー走行1で幕を開ける。