自身の左肩に手を添える角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月17日(土) F1エミリア・ロマーニャGP予選(イモラ・サーキット)

角田裕毅、クラッシュの裏に”ヒーロー志向”―自責と落胆のF1エミリア・ロマーニャGP予選

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2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの予選Q1で、角田裕毅(レッドブル)は車体が宙に舞う激しいクラッシュを喫した。後にインタビューに応じた角田は、悔しさを隠しきれない様子で一連の経緯を振り返った。

事故はQ1開始から約8分後、最初のアタックラップで発生した。角田はヴィルヌーヴ・シケインへの進入時に縁石に大きく乗り上げリアを失い、スピン状態でリヤからバリアに激突。その衝撃でマシンは宙に浮いて横転し、最終的にグラベル上に着地した。

幸いにも角田は自力でクルマを降り、メディカルセンターでの検査でも異常は見つからなかったが、RB21は全体的に深刻なダメージを負っており、レッドブルのメカニックは決勝に向けて徹夜での作業を強いられることとなった。

体調について問われた角田は、「おかげさまで大丈夫です」と無事を報告した一方で、「あれほど早い段階で終わってしまって、本当に悔しいです。あれは本当に不必要でした」と語り、落胆の色を隠さなかった。

幾度となくテスト走行を重ねてきたイモラ・サーキットは、角田にとって鈴鹿を除けばF1カレンダーの中でも特に馴染み深く、得意としてきたコースのひとつだが、今週末は、そのイモラでRB21のバランスとグリップ不足に苦しみ、プラクティスを通して厳しい状況が続いていた。

「あるセッションでは悪くなかったのですが、別のセッションでは突然、大きく遅れたりと、アップダウンが激しい状況が続いていました」と角田は振り返る。

特に、8番手を記録したFP2とは対照的に17番手に沈んだFP3については、「うまく1周をまとめきれなかったことは確かですが、それにしてもペースがかなり悪かったです」と語り、「どうしてあんな結果になったのか、自分でもちょっと謎でした」と首を傾げた。

突然のペースダウンの理由が不明瞭なまま、予選に向けてはセットアップを「大幅」に変更。「ターン1からターン3までは結構良い感触」を掴めたというが、その直後に「本当に愚かなミス」を犯してクラッシュしたと認め、チームに謝罪した。

クラッシュした予選を経てインタビューを受ける20番手の角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月17日(土) F1エミリア・ロマーニャGP(イモラ・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

クラッシュした予選を経てインタビューを受ける20番手の角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月17日(土) F1エミリア・ロマーニャGP(イモラ・サーキット)

事故の要因について角田は、セットアップ変更後のクルマの挙動を完全に理解していない状況でプッシュしたこと、タイヤを1セットに抑えてQ1突破を狙ったこと、そして「ヒーロー」になろうとしてしまったこと、という3点を挙げた。

米スポーツ専門チャンネル『ESPN』によると角田は、プレッシャーを感じていたのではないかという質問に対して次のように答えた。

「プレッシャーは感じていません。チームもそういったプレッシャーをなるべく取り除いてくれています。ただ、Q1からヒーローになろうとしたのが間違いでした。1セットで突破しようと気負いすぎてしまいました」

「それに、クルマにいろいろ手を加えていたので、各速度域で実際にどう動くか分からない状態でした。本来であれば少しずつビルドアップすべきでしたが、自分なら大丈夫と思ってしまい…とはいえ、それも言い訳に過ぎません」

「セットアップを変えたことで、クルマが少し予想外に反応してしまったのですが、そうなった原因、つまりあのコーナーでああいうバランスになった原因は、自分でも分かっています」

チーム代表のクリスチャン・ホーナーは、「何よりもまずユーキが無事だったことが一番大切だ。クルマは直せるからね」とした上で、クラッシュの原因については「左側の縁石にちょっと乗りすぎたように見えた」と指摘した。

予選結果は記録されておらず、決勝は少なくとも最後尾20番手からのスタートとなる見通しで、交換が必要なパーツの状況次第では、ピットレーンスタートとなる可能性もある。

対照的に、チームメイトのマックス・フェルスタッペンは予選2番手を獲得しており、決勝ではポールのオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と3番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)に挟まれるかたちでスタートする。


2025年F1エミリア・ロマーニャGP予選では、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3番手はジョージ・ラッセル(メルセデス)という結果となった。

決勝レースは日本時間5月18日(日)22時にフォーメーションラップが開始され、1周4,909mのイモラ・サーキットを63周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

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