ピットレーン掲げられた「MIAMI」サインの前を歩く角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝レース(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅、視線の先にハジャーはおらず―10位死守マイアミGPの“もう一つの構図”

  • Published:

2025年F1第6戦マイアミGPでは、1ポイントを懸けた「5秒」を巡るアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)と角田裕毅(レッドブル)の”見えないバトル”が注目を集めたが、角田が意識していたのは背後のハジャーではなかった。

ピットレーン速度違反に伴い、レース後に5秒ペナルティが科される状況の中、角田はポイント獲得に向けて、後方ハジャーを5秒以上引き離す必要があった。だが、角田は5秒のマージン確保という“守りのレース”をしていたわけではなく、あくまで上位進出という“攻めのレース”を展開していた。

ハジャーとのバトルについて角田は、「最初のうちは、ラップ毎に彼(ハジャー)との差を広げることができていたので、正直、僕の方がペースがあると思っていました。なので、実は後ろはあまり気にしていなくて、むしろ前にいたカルロス(サインツ)の方に集中していました」と説明した。

だが、グリップの低下とともに状況は急変する。

「ある時点からグリップが落ちてきて、逆にアイザックがペースを上げて、一気に差を詰められてしまい、正直、ちょっと焦りました。なんとか彼の前でフィニッシュできて良かったです」と振り返った。

結果的に角田は、前を行くサインツに13.857秒の差をつけられ、9位入賞には遠く及ばなかった。一方、1ポイントを懸けた10位争いでは、最終ラップ突入時点で4.906秒差まで迫っていたハジャーが、気負いからミスを犯したこともあり、最終的には5.167秒差で抑えきり、ギリギリのところで10位入賞。貴重な1ポイントをもぎ取った。

決勝に向けてガレージ内で走行準備を進める角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

決勝に向けてガレージ内で走行準備を進める角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

終盤のギャップ縮小、グリップ低下、そしてペナルティ──幾重にも重なるプレッシャーの中でも冷静に対処し、結果を持ち帰った角田だが、レース後の評価は甘くなかった。

「今日の自分のペースには全く満足していません」とした上で角田は、個人のパフォーマンスに加え、ポールポジションを獲得しながらも4位に終わった僚友マックス・フェルスタッペンに言及し、マシン側の課題についても言及した。

「マックスもそうだったと思いますが、正直、今回は望んでいたようなペースがありませんでした。兎に角、グリップがなく、特にセクター2ではライバルと比べてかなり遅かったように思いますし、ほぼすべてのコーナーでアンダーステアに悩まされました」

それでも角田は、今回の厳しいレースを自己成長の糧と捉えている。

「当然、こういった状況の中で走るのは楽ではありませんが、そういう中でこそ多くを学ぶことができます。個人としてどこを改善できるか、走りながらどんな調整が必要か、そういう意味で収穫は大きかったと思います。ただ、結果そのものは僕が望んでいたものではありませんでした」

パドックまでエスコートした地元警察官と写真撮影する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Red Bull Content Pool

パドックまでエスコートした地元警察官と写真撮影する角田裕毅(レッドブル・レーシング)、2025年5月4日(日) F1マイアミGP決勝(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

F1マイアミGP特集