
ボルトレート、師匠アロンソへの”壁ドン”で「夕飯抜き」のお仕置き? F1サウジでの接触寸前劇にピアストリも…
ガブリエル・ボルトレート(ザウバー)は、2025年F1サウジアラビアGP決勝レースにおいて、“師匠”であるフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)を壁際に追いやる格好となった一件をめぐり、「夕飯抜き」のお仕置きを受けるかもしれない。
「見えていなかった」アロンソの存在
レース中にボルトレートは、リアム・ローソン(レーシング・ブルズ)に追い抜かれた直後、後方から迫っていたアロンソの存在に気づかぬままレーシングラインへと復帰。その結果、アロンソを壁際に追いやる形となり、接触寸前の際どいシーンを招いた。
LAP 26/50
That was a close one between Alonso and Bortoleto! 😲#F1 #SaudiArabianGP pic.twitter.com/X38GTf1Fdw
— Formula 1 (@F1) April 20, 2025
アロンソが冷静に対処したことで大事には至らなかったものの、ヒヤリとさせる場面となった。この一件についてボルトレートは、アロンソの存在を全く認識していなかったと説明した。
「彼のことは見えてなかったんだ。まさかあそこにいるなんて。後ろに1台いるのは分かってたけど、そのクルマに抜かれた直後にコーナーを広く取ろうとしたら、そこにフェルナンドがいたんだ」
一方のアロンソは、「あれはギリギリだったね。僕としても、アウト側に行ったのは確かにリスクのある判断だったけど、彼は明らかに僕の存在に気づいていなかった」と振り返る。
「おかげで回避行動を取らなきゃならなかった。その時にコーナーを通過できず彼の前に出てしまったから、すぐにポジションを戻したんだ。ペナルティを避けるためにね。でもまあ、あれは危なかった!」
また、専門メディア『GRANDE PRÊMIO』のスペイン語版によるとアロンソは、「もしかしたら、帰りの便で夕飯抜きかもね」と冗談を飛ばしたという。ふたりはグランプリ終了後、同じ便で移動することが多い。
この出来事をめぐっては、この日のレースでトップチェッカーを受けたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)も、レース後のクールダウンルームで、「ガビは今日、帰りの飛行機に乗れないかもね」と笑いを誘っていた。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
ドライバーズパレードで笑顔を見せるフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)とガブリエル・ボルトレート(ザウバー)、2025年F1オーストラリアGP決勝レース(アルバート・パーク・サーキット)
指導者アロンソと弟子ボルトレートの関係
アロンソは自身のマネジメント会社「A14」を通して、ボルトレートのキャリアを支援しており、個人的にも彼の指導に携わっている。そのため、両者は“師匠と弟子”の関係として注目を集めている。
今年の中国GPでは、「コース上でボルトレートとバトルすることになったらどうするか?」との質問がアロンソに飛んだ。2度のF1ワールドチャンピオンは、「僕の理解では、僕が前に出るっていう明確なルールがある!……いや、冗談だけどね」と場を沸かせた。
これに対してボルトレートも「僕の契約には『予選でフェルナンドを見かけたら、毎回スリップストリームを提供すること』って書いてあるからね(笑)」とユーモアで応じ、両者の信頼関係を印象付けた。
Courtesy Of Sauber Motorsport AG
ドライバーズ会見で同席するガブリエル・ボルトレート(ザウバー)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2025年F1中国GP
師からの教えについて、ボルトレートは「本当にいろんなことを教えてもらっている。コース上でどう戦うかだけでなく、コース外での過ごし方──たとえば木曜や金曜の準備や、週末に集中すべきことまで。本当に素晴らしい関係を築けていると思う」と語る。
「いずれはコース上でサイド・バイ・サイドのバトルができたらいいなと思っている。それは僕にとって特別な瞬間になるはず。彼のレースを見て育ってきた僕にとって、今こうしてF1で一緒に走れて、しかも彼がマネージャーでもあるなんて、本当に嬉しいし、大きなチャンスだよ」と、その思いを言葉にした。
厳しい週末のなかでの学び
ジェッダ市街地コースでの3日間は、新人ボルトレートにとって過酷な週末となった。予選・決勝ともに最下位。FP2では燃料漏れのトラブルにより走行が叶わず、予選および決勝に向けた準備に大きな影響を及ぼした。
「周回数が少なかったから、予選では自分の判断で攻める戦略を選んだんだ。でもミスをしてしまって、それがすごく悔しい」と振り返る。
さらに決勝では、タイヤの選択肢が限られていたことを明かし、「ハード1セットとミディアム1セットしか残っていなかった。その2セットを使い切ってしまっていたから、終盤にピットインしてペースを上げたくても、スペアのタイヤがなかった。最後はもう完全にタイヤが終わっていたよ」と語った。
デビューイヤーの若手にとって、F1は試練と学びの連続だ。今回のサウジアラビアGPは、ボルトレートにとって困難の連続だったが、師でありメンターでもあるアロンソという“走る教科書”とともに挑んだこの週末は、今後に向けての大きな学びとなったことだろう。
2025年F1第5戦サウジアラビアGPでは、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が2番グリッドからの逆転勝利を飾った。2位はマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
マイアミ・インターナショナル・オートドロームを舞台とする次戦マイアミGPは、現地時間5月2日のフリー走行1で幕を開ける。