
”異変”を察知したオコンがドゥーハンを救援―レース後の鈴鹿に静かな懸念と思いやり
2025年F1第3戦日本グランプリの決勝レース終了後、アルピーヌの新人ジャック・ドゥーハンがマシンから降りるのに苦労していたところ、ハースのエステバン・オコンが救いの手を差し伸べる一幕があった。
19番グリッドからスタートしたドゥーハンは、オコンやニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)らを抑えて15位でフィニッシュした。だが、レース後のパルクフェルメでは、自力で降車できずに苦しむ様子がオンボード映像に捉えられていた。
その光景を目にしたオコンは、すぐさまアルピーヌのクルーとともに駆け寄り、ドゥーハンを車外へ引き上げるのを手助けした。さらに、足を引きずるような素振りを見せるドゥーハンの肩を支えながら、計量へと向かう道中も歩行をサポートする姿が見られた。
二人は昨年までアルピーヌの同僚という間柄だった。ドゥーハンは今年、同チームからハースへ移籍したオコンの後任として、アルピーヌのレギュラードライバーに昇格した。
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ジャック・ドゥーハン(アルピーヌ)に肩を貸すエステバン・オコン(ハース)、2025年4月6日F1日本GP決勝レース後のパルクフェルメにて(鈴鹿サーキット)
左手を庇う様子も、FP2でのクラッシュが影響か
気になるのは、ドゥーハンが左手や左腕を全く使わず、これを庇うようにコックピットから出ようとしていた点だ。右腕だけでヘイローに体重をかけようとしたが、上手く上体を起こすことができなかった。
金曜のFP2でドゥーハンは、DRSを閉じずに時速約300kmでターン1に進入。コントロールを失って激しくバリアに衝突した。体調に問題はないとされているが、マシンのリアセクションが大破するほどの大クラッシュだった。
自力で降車できなかった理由や手の状態については現時点で明らかでないが、レース後のインタビューでドゥーハンが体調への懸念を感じさせる様子を見せることはなく、むしろ充実感をにじませていた。
「不満は言えない。プラクティスでは走行時間がかなり限られてしまったし、燃料を多く積んだ状態でのロングランもできないまま今日を迎えたから、ある意味“手探り状態”だった」とドゥーハンは振り返った。
「戦略的にかなり攻めた結果、アンダーカットを仕掛けるチャンスを得ることができた。もちろん、その分レース全体の総合的なタイムは速くなかったかもしれないけど、アンダーカットを決めることができた」
「残り25周くらいからハードタイヤのグリップが落ちて、かなり厳しい状況になったけど、ヒュルケンベルグを抑えることはできた。新品ソフト履いたカルロス(サインツ)にはさすがに敵わなかったけど、全体的に見れば、もちろん理想の順位ではないけど、そんなに悪くなかったと思う」