アストンマーチン、F1チーム株式を一部売却へ─ストロールは企業本体へ追加投資を決断

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英高級スポーツカーメーカーのアストンマーチンは、経営基盤の強化を目的として、保有するF1チームの少数株式(約7,400万ポンド=約143億円相当)を売却する。この取引により、グループ全体の流動性は1億2,500万ポンド(約243億円)以上増強される見通しだ。

同社は、「F1チームとの長期的なスポンサー契約には一切影響がない」と強調しており、チームは引き続き「アストンマーチン・アラムコ」の名の下、レース活動を継続する方針。ブランド認知の向上とロードカー販売への波及効果を狙い、モータースポーツへの関与は維持される。

実際、チームの筆頭株主はカナダ人実業家ローレンス・ストロール氏が率いる「Yew Treeコンソーシアム」であり、今回の株式売却は、財務健全化に向けた施策の一環とされる。

ストロール、さらなる追加出資で経営権強化へ

株式売却に加えて、Yew Treeコンソーシアムはアストンマーチンの普通株7,500万株(約5,250万ポンド相当)を新たに取得し、持株比率を現在の27.67%から33%へと引き上げる方針を示した。

これに伴い、イギリスの企業買収法で定められる30%超の持株比率に関する公開買付(TOB)義務の免除を求める計画も明らかにした。

ストロールは、「2020年以降、Yew Treeのパートナーとともにアストンマーチンへ6億ポンド以上を投資してきた。今回の出資は、ブランドへの揺るぎない信頼と、長期的な価値創出への責任を反映したものだ」と述べている。

株価は依然低迷、再建に向けた改革進む

2025年3月時点で、同社の株価は年初来で約30%下落しており、利益目標の下方修正、約170人(全体の5%)の人員削減、米国による新たな輸入関税の影響など、経営環境は厳しさを増している。

昨年CEOに就任したエイドリアン・ホールマーク氏は、「今回の資金調達は製品開発と事業変革を推進するために必要な財務的余裕を確保するものであり、持続可能な収益体制への転換を加速させる」と述べ、再建に向けた意欲を示した。

アストンマーチンはF1を通じてブランドの国際的な存在感を高めつつ、経営再建に取り組む構えだ。