
F1新コンコルド協定:全チームが商業契約に合意、FIAとのガバナンス契約は未締結
F1は、2025年末で期限を迎える現行のコンコルド協定に代わる新たな商業契約について、キャデラックを含む全チームと合意に至ったと発表した。新協定の期限は2030年末までとなる。
2025年シーズンの開幕オーストラリアGPの決勝を前に発表された声明の中で、F1は以下のように述べた。
「この新たな商業契約は、このスポーツの長期的な経済基盤を確保するものだ。F1はこれまでにない強固な地位を築いており、すべての利害関係者が大きな成長と利益を享受している。このプロセスに協力してくれた全チームに感謝する」
新たなコンコルド協定には、2026年からF1に参戦する新規チーム「キャデラック」 も含まれている。キャデラックはゼネラルモーターズ(GM)のブランドであり、F1参入に向けて独自パワーユニットの開発を進めている。
コンコルド協定とは?
コンコルド協定とは、FIA(国際自動車連盟)、FOM(フォーミュラ・ワン・マネジメント)、そしてF1チームとの間で結ばれる商業およびガバナンス(統治体制)に関する契約のことである。
この協定は、F1の運営や利益分配のルールを規定し、各チームが競技に参加する条件を正式に決める極めて重要な合意事項となる。
2020年の前回のコンコルド協定締結時には、利益分配の公平性やチームの発言権を巡り議論が紛糾したが、今回は大きな混乱もなくスムーズに合意に至った。これは、現在のF1が商業的に安定した状況にあることを反映していると言える。
FIAとのガバナンス契約は未確定
今回締結されたのはF1とチーム間の商業契約のみ であり、F1とFIAとの間で必要なガバナンス契約はまだ正式に締結されていない。
ガバナンス契約の見通しについてFIAは「最終段階にある」としているが、F1との関係は近年緊張が続いており、特にガバナンスや技術規則の決定に関して対立が見られる。
F1は声明の中で「2026年のコンコルド・ガバナンス協定は、適切な時期に確定される予定だ」とし、今後の進展を見守る姿勢を示した。
今回の新協定により、F1の商業的安定性は確保されたが、FIAとのガバナンス契約がどのようにまとまるかが今後の重要な焦点 となる。