
レッドブルF1昇格を阻んだ“決定的要因”―マルコが語る角田裕毅の課題
2024年シーズン終了後、レッドブルはセルジオ・ペレスとの契約を早期解除し、マックス・フェルスタッペンの新たなチームメイトにリアム・ローソンを起用することを決定した。この判断により、長年レッドブルのセカンドチームで活躍してきた角田裕毅のF1キャリアは、大きな岐路に立たされることとなった。
角田裕毅は2024年シーズンに30ポイントを獲得し、ポイントランキング12位でシーズンを終えた。途中で解雇されたダニエル・リカルドや、リカルドの代役を務めたローソンにも競り勝つ形となったが、それにもかかわらずレッドブルはローソンを昇格させ、角田裕毅を据え置く決断を下した。
レッドブル昇格を逃した要因とは
この決定について、レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーであるヘルムート・マルコは、独Auto Motor und Sportのインタビューで、昨年のメキシコGPで角田裕毅が犯した「まったく不要」なミスが影響したと示唆した。
角田裕毅は予選Q2の1回目のラップを終えて8番手につけたものの、最終ラップでスタジアムセクション入口(ターン12)のブレーキング時に左フロントをロック。そのまま車体左側からバリアに衝突し、赤旗を招いた。
さらに翌日の決勝レースでは、ターン1のブレーキングでアレックス・アルボン(ウィリアムズ)と接触。レース開始直後にリタイアを余儀なくされ、1周も終えずにメキシコシティを去ることとなった。
Courtesy Of Red Bull Content Pool
エルマノス・ロドリゲス・サーキットのターン1脇のバリアに衝突する角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年10月27日F1メキシコGP決勝レース1周目
ウィリアムズのジェームズ・ヴァウルズ代表やアルボンを含め、この接触は「不運なレーシングアクシデント」だったとの意見が大勢を占めた。しかし、マルコはこれを、角田裕毅のネガティブな特性が表れた象徴的なインシデントと見なした。
「ツノダには感情が爆発するところがある。改善されてきてはいるが、完全に消えたわけではない」とマルコは語る。
「昨年のメキシコでは、レッドブル昇格の決定が迫る中で、彼はまったく不要なクラッシュを2度も喫した。その時点で、彼はすでにレッドブルのシートをめぐる争いがあることを理解していた。つまり、プレッシャーの下では依然としてミスをしやすいということだ」
角田の強みとレッドブルで求められる資質
マルコは、角田裕毅のスピードはレッドブルのシートに値すると認めつつも、マックス・フェルスタッペンという4度のF1王者を擁するレッドブルでは、単なる速さだけでは不十分だと指摘した。
「スピードに関しては、彼に疑いの余地はない。しかし、マックスと戦うということは、常にプレッシャーがかかるということだ」とマルコは語る。
「ウェットコンディションでも、彼はすぐに速さを発揮する。他のドライバーがまだ様子を見ている段階でも、彼はすでに全開だ」
「レッドブルのチームメイトには、そのような環境下でのプレッシャーに適応できる能力が求められる。もしそれができなければ、苦労することになる」