最前列から8位後退のペレス「完全崩壊」重要会議を前にマルコ非難、一方でホーナーは示唆的発言
F1ベルギーGPで9戦ぶりの最前列を手にしながらも、8位フィニッシュに終わったセルジオ・ペレスについてレッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、「完全に崩壊した」「我々が期待していたものではない」と厳しい評価を下した。
シート喪失の可能性が危惧される中、自身の存在理由を示す最後のチャンスとなる可能性があったスパでペレスは結果を残せなかった。ペースを発揮することができず、フェラーリ勢とマクラーレン勢にポジションを奪われ、エンジン交換ペナルティにより11番グリッドに着いた僚友マックス・フェルスタッペンに道を譲らなくてはならないほど後退した。
マルコ「崩壊」したペレスを非難
ペレスのレースについてマルコは独Sky Sportに対して「セルジオには2位から良い結果を出すチャンスがあった。残念ながらそうはならなかった。特に最終スティントでは完全に崩壊し、1分48秒台を記録することもあった」と語った。
「予選でポジティブに見えたことがレースでは実現しなかった」
レッドブルはベルギーGP明けの7月29日(月)に、2025年シーズンに向けてドライバーラインナップを評価するための話し合いを行う予定で、ペレスはサマーブレイク中にも解雇される可能性があると噂されている。
月曜の会議についてマルコは「我々としては、(今季だけでなく)2025年に向けても全体の状況を見直すことになる。我々には何人かのドライバーがおり、これに関する構想もある。2番手からの8位というセルジオの結果は我々が期待していたものではない」と語った。
5月中旬のエミリア・ロマーニャGP以降の8戦でマックス・フェルスタッペンが141ポイントを獲得した一方、ペレスは僅か28ポイントしか稼げておらず、レッドブルはコンストラクターズ選手権で2位マクラーレンに43ポイント差まで詰め寄られている。
レッドブルがペレスの解任を決定した場合の後任候補としては、姉妹チームに所属する角田裕毅とダニエル・リカルドのほか、両チームでテスト兼リザーブ・ドライバーのリアム・ローソンの名前が取り沙汰されている。
ローソンはベルギーGP明けの7月31日(水)に、イモラ・サーキットで2022年型アルファタウリAT03のテストを行う予定で、フィルミングデーの一環としてリカルドと角田裕毅もイモラでVCARB 01をドライブするものと見られている。
一部では、リカルドにもイモラでAT03をドライブさせ、ローソンと比較するとの憶測もある。
時間はある、と示唆的なホーナー
不調続くペレスについて、一貫して公の場で支持する姿勢を示してきたクリスチャン・ホーナー代表は、苦戦を目の当たりにするのは個人的に「辛い」として、「チェコが苦しむ姿は誰も見たくない。誰もが彼の成功を望んでいる」と語った。
「チェコはここ数レース、厳しい状況にある。我々にとって本当に不可解なのは、彼にとってのシーズンスタートが好調だったことだ」
ホーナーはまた、「彼は予選で本当に素晴らしい仕事をした。我々にはレース中の問題点を突き止め、理解する必要がある。それをする時間はある」と述べ、挽回のための更なる時間をペレスに与えることを示唆した。
シーズン途中で容赦なく切り捨てるなど、レッドブルは過去に何度もドライバーに対して冷徹な判断を下してきた。
「誰もそのような決断を下したくない。君たちは毎日そのことについて話しているが、チームとしては、彼をうまく軌道に乗せ、理解したいと思っている」とホーナーは語る。
「我々と同じように彼もまた、2台揃ってパフォーマンスを発揮することが必要だと痛感している。シーズン当初の我々はそういう状況にあったし、それこそが取り戻さなければならない状況だ」
ホーナーは月曜の会議について「チェコに関するものだけではない。他にも幾つかの議題がある。夏休み前にいつもそうしている」と付け加えた。
ペレスをシーズン途中で交代させることは、僅か2か月前に2年間の契約延長を結んだレッドブル、特にこれを主導したと見られるホーナーにとって避けたいシナリオであることは疑いないが、判断を誤れば2024年のコンストラクターズタイトルを奪われかねないほどにマクラーレンは接近してきている。