謎めくレースエンジニア交代劇、決定に関与していないとシャルル・ルクレール…年途中にシャビ・マルコスから突如ボッツィに
シーズン途中という謎めいたタイミングでのレースエンジニアの交代についてシャルル・ルクレール(フェラーリ)は、チームの決定であり自身はこれに関与していないと説明した。
フェラーリはF1第7戦エミリア・ロマーニャGPを前に、長年に渡ってルクレールの相方を務めてきたシャビエル・マルコス・パドロスからブライアン・ボッツィへの即時の交代人事を発表した。
交代の動機や理由に関する詳細は明らかにされておらず、フェラーリは短い声明を通して「マルコスはF1チームのレースエンジニアとして得た貴重な経験を他の重要な企業プログラムの開発に活かす」と説明するに留めた。
シャビ・マルコスはルクレールがザウバーからフェラーリに移籍した2019年以来、一貫してルクレールとタッグを組んできたスペイン出身のF1エンジニアで、ルクレールのF1キャリアにおける5度のグランプリ勝利、23回のポールポジション、そして33回の表彰台フィニッシュはすべて、シャビと共に達成されたものだ。
スクーデリアがシーズン途中でレースエンジニアを交代させるのは、ガブリエッレ・デッリ・コッリの後任としてロブ・スメドレーがフェリペ・マッサを担当する事になった2006年のヨーロッパGP以来の事だとされる。
英AUTOSPORTによるとルクレールは、選手権争いが熾烈な状況では「全てが違いを生む」として、交代がリスクとなる可能性を認めた上で、「決定はチームとシャビとの間で行われたものだ。彼らは別の計画を念頭に置いていたんだと思う」と説明し、交代の事実についてはマイアミGPの「直後」に伝えられたと明かした。
チーム代表を務めるフレデリック・バスールはマッティア・ビノットの後任としてフェラーリに加わった昨年以降、大々的ではないものの、細かな組織変更を主導してきた。
ルクレールが今回の決定にどのような影響を及ぼしたのか、あるいは、及ぼしていないのかは定かでない。単に何らかの形で問題を提起しただけという可能性も考えられる。
さりとて彼自身のパフォーマンスとリザルトに直結し得る重要な問題である事を踏まえると、一般的に考えればレースエンジニアの交代については、ルクレールにも少なからず決定に関与させるのが自然だろう。
シャビ・マルコスは近年、レース中の無線でのコミュニケーションを巡り、幾度となくルクレールの怒りを買う場面が目立っていた。
依然として疑問が残るのは確かだが、ルクレールは少なくとも変化を受け入れているようで、この点に関してはマイアミGPの直前にレースエンジニアが交代となったバルテリ・ボッタス(ザウバー)とは明らかに様子が異なる。
「そうは言っても今後、シャビの役割を担うブライアンは、僕がフェラーリに来てからずっと一緒に仕事をしてきた人物だし、一貫して僕のパフォーマンスエンジニアだったから、あらゆる面を正確に把握している」とルクレールは語る。
「だから、ゼロからのスタートというわけでもないし、イチから完全に適応しなきゃならないというわけでもない。ずっと順風満帆でやってきた間柄だし、この調子でやれるとも思っているし、今週末の時点で100%の力を発揮できるはずだ。僕に言えるのはそれだけだ」
この件についてバスールは、チームが推し進める「継続的な改善」に向けたプロセスの一環であるとした上で、ルクレールとボッツィは「お互いを非常に高く評価」し合っており、ボッツィの起用によりパフォーマンスが向上すると考えていると説明した。
また、「結局のところ、我々が争っているのは1000分の1秒だ。もし少しでも良くなると感じたら、それに進むべきだし、現状維持は望ましくない」とも述べ、「ブライアンは非常に優秀だと確信している。彼にはクルマの経験もあり、クルーの経験もあり、チーム内の誰もが彼を知っているため、順応するのは非常に容易いだろう」と締め括った。