エイドリアン・ニューウェイが明かす「レッドブルF1離脱の理由」と「次なる計画」そして「決断の時期」
2025年第1四半期を以てレッドブル・レーシングを去るとの公式発表以来初めて、エイドリアン・ニューウェイが公の場で自らの言葉を以て決断の理由と時期、そして今後の計画を明かした。
英「Sky Sports」のインタビューに応じたニューウェイは終始、にこやかな笑顔を浮かべるなど本当にリラックスした様子で、インタビューアーのマーティン・ブランドルとの会話を楽しんでいるように見えた。
「18年になるね。ここまで本当に素晴らしい旅だった」とニューウェイは振り返る。
「ジャガーの燃え殻から始まった若いチームで、クリスチャン(ホーナー代表)と一緒に築き上げてきた。正直、参加した時は、どこに行き着くのか全く分からなかった。かなり大きなキャリアリスクだったね」
「それ以来、素晴らしい旅路を歩んできた。ファクトリーやレースチームの素晴らしいみんなと一緒に仕事ができて本当に光栄だった。ただただ、驚くほど素晴らしかった」
チームが支配的なシーズンを過ごすこのタイミングで何故、去ろうと思ったのか?と尋ねられるとニューウェイは、マネージャーのエディ・ジョーダンが言及したように休息が必要なのだと返した。
「まあ、F1は身を焦がすほどのエネルギーが必要だからね! 僕はこれまで、もう長いことやってきた」とニューウェイは語る。
「メルセデスとの激しいタイトル争いと並行して、この世代のマシンの父となるRB18に関するあらゆる研究と開発に取り組んでいたから、2021年は本当に忙しい年だった」
「そしてその後、どうだろう、、ある時にふと感じたんだ。フォレスト・ガンプが言ったように、少し疲れを感じたんだよ!」
決断の時期について問われたニューウェイは「ここしばらくのことだね。正直に言えば、冬の間に少し考えていたんだ」とする一方、「今年の出来事」が起こるにつれて、意思が固まってきたのだとも明かした。
「今年の出来事」の詳細は不明だが、レッドブルでは今年、女性従業員に不適切な行為を働いたとされるクリスチャン・ホーナー代表を巡る騒動がプレシーズンに勃発し、これと並行してチーム内権力闘争が活性化した。
ニューウェイは「本当に幸運な事に、私は働かなくても生活できる立場にある。働いているのは楽しむためなんだ。だから今は一歩引いて少し休みを取り、人生を見つめ直して、少し旅をしてみる良いタイミングだと思ったんだ」と付け加えた。
なおホーナーは、内紛を理由としてニューウェイが退団を決断したという事実は「絶対にない」と主張した。
ホーナーは「エイドリアンが退任を検討する時期かもしれないという話は、12ヶ月前からあった。つまり、しばらくの間に渡って彼の頭の中にあった事を私は知っていた。それに対して我々は備えなければならなかった」と説明した。
パドックは移籍先についての話題で持ちきりだが、ニューウェイは自身の次の計画について「妻のマンディや犬たちを連れて、キャンピングカーか何かでフランスを南下したり、兎に角、人生を楽しむつもりだよ!」と笑った。
ただ、これ以てキャリアを終える意思はないようで、「今はまだ何も計画はない」とする一方、「いつか、いつになるか分からないけど、シャワーを浴びている時に『よし、これが次の冒険だ!』って思う時が来るかもしれない」とも語った。
また、次世代パワーユニット、新しいエアロ、そしてニューウェイが得意とする分野のアクティブエアロが導入される2026年のレギュレーション変更は「間違いなく」自身をワクワクさせるものだとも認めた。
ニューウェイの移籍最有力候補と見なされているのはスクーデリア・フェラーリだ。
ブランドルは、2025年にメルセデスからフェラーリに移籍するルイス・ハミルトンが「レジェンドと一緒に仕事がしたい」と発言した事を伝え、「君は赤色が似合うと思う?」とニューウェイに尋ねた。
ニューウェイは大笑いしながら「正直に言って時期尚早だよ!」と返した。
「ルイスがそう言ってくれるのは本当に有り難いね。本当に光栄だ。でも今は兎に角、少し休憩を取る。その上で次に何が起こるかを見て見るよ」