アルボン、手玉に取られるも「完璧な戦略」とハース称賛…接触マグヌッセンは懲罰に値せずとも主張
後続を抑える壁としてケビン・マグヌッセンを利用し、F1サウジアラビアGPで貴重な1ポイントを掴み取ったハースについてアレックス・アルボン(ウィリアムズ)は、「戦略面で完璧にやったと言わざるを得えない」と称賛した。
アルボンおよび角田裕毅(RB)との接触により計20秒ペナルティを受けたマグヌッセンはピットからの指示を受け、意図的にペースを落として後続のライバル勢を抑え込んだ。この戦略が功を奏してニコ・ヒュルケンベルグは10位でフィニッシュ。今季初ポイントを手にハースは、コンストラクター選手権6位に浮上した。
この戦略についてハースの小松礼雄代表は「2つのペナルティを受けケビンがポイント争いから脱落したため判断を下しました。ケビンは与えられた目標タイムを刻みながらライバルを抑え込む素晴らしい走りを見せてくれましたし、ニコも完璧な走りを見せてくれました」と振り返った。
ヒュルケンベルグはマグヌッセンの貢献に触れて「シーズンの後半で彼にこの恩を返すよ」と述べ、マグヌッセンはチームプレイによって2つのペナルティの埋め合わせができたと思うと振り返った。
”マグヌッセン・トレイン”に翻弄され、ヒュルケンベルグから11.358秒遅れの11位でフィニッシュしたアルボンは「ハースのレースは素晴らしかった。戦略面で完璧にやったと言わざるを得えないね」とライバルを高く評価した。
「ニコには、賞金の50%と10位入賞のボーナスをケビンに渡した方が良いよって伝えたんだ。だって彼はあの場で間違いなくチームプレイに徹したわけだからね。僕にとってはフラストレーションだったけど」
「ハースがちょっとしたウィリアムズみたいだったのは少し奇妙だね。ストレートでの彼らはロケットのようで、僕らはスピードトラップで一番遅かった。だから僕らにとって今週末はウィリアムズらしからぬ週末だった」
「ペースが良かっただけに悔しい。最後にクリーンエアーを受けた時にようやくそれを見せる事ができたけど、結局のところ11位に満足する人なんていないんだから」
車両パフォーマンス部門を率いるデイブ・ロブソンは、アルボンがポイントを獲得できなかったのは「ハースによる妥当なチームプレイ」が要因だと語った。
同じようにマグヌッセンに前を塞がれた角田裕毅が所属するRBのレーシング・ディレクター、アラン・パーメインは、角田裕毅を追い抜くためにマグヌッセンが故意にコースアウトしたと主張。それによって得たトラックポジションを使ってヒュルケンベルグを援護したと指摘し、「スポーツマンシップに反する」と非難した。
マグヌッセンはレースを通して終始、アルボンとポジションを争っていた。12周目にはターン4でアルボンを壁に追いやる格好となり接触。自身はフロアを、アルボンはウイングにダメージを負ったようだった。
スチュワードはマグヌッセンに「全面的あるいは圧倒的な責任」があると判断し、10秒ペナルティに加えて3点のペナルティポイントを科す決定を下したが、アルボンはヴィタントニオ・リウッツィら4名の競技審判団とは全く異なる見方をしている。
LAP 12/50
Stewards are looking at this 👀
Albon suffers front wing damage following contact with Magnussen #F1 #SaudiArabianGP pic.twitter.com/zwPhiTSs8j
— Formula 1 (@F1) March 9, 2024
「本音を言えば、あれは僕にとってはレーシング・アクシデントだった」とアルボンは振り返る。
「あそこのコーナーはあまり好きじゃないんだ。なんであんな風に突き出したような設計にしたのか分からない。最近の幾つかのコースは、ああいった不自然なアングルになっているけど、そういうのが好きなんだろうね」
「イン側のクルマにとっては、スペースを判断するのが本当に厄介なんだ。(ターン4に向けて)スペースを残して走っていても、最後の最後に変に曲がるから、右側を走っているクルマは幅寄せされちゃうし、左側のクルマは上手く判断できなくなるんだ」